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東京地方裁判所 平成2年(ワ)5162号 判決

東京都渋谷区幡ケ谷二丁目四三番二号

原告

オリンパス光学工業株式会社

右代表者代表取締役

下山敏郎

右訴訟代理人弁護士

大場正成

鈴木修

札幌市西区西町南一二丁目五番一三号

被告

有限会社メディカル研究所

右代表者代表取締役

廣井三郎

右訴訟代理人弁護士

和田壬三

右訴訟復代理人弁護士

園田峯生

右輔佐人弁理士

田中二郎

主文

一  被告は、別紙目録(一)及び(二)記載のフィルムカセットを販売してはならない。

二  被告は、その占有にかかる別紙目録(一)及び(二)記載のフィルムカセットを廃棄せよ。

三  被告は、原告に対し、金二三一二万一〇〇〇円及びこれに対する平成二年八月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告のその余の請求を棄却する。

五  訴訟費用は四分し、その一は原告の、その余は被告の負担とする。

この判決は、原告勝訴部分に限り、仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告は、別紙目録(一)及び(二)記載のフィルムカセットを製造、販売してはならない。

2  主文第二項と同旨

3  被告は、原告に対し、金四三六九万六九五〇円及びこれに対する平成二年八月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

4  訴訟費用は被告の負担とする。

5  仮執行宣言

二  被告

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求の原因

(意匠権に基づく請求)

1 原告は、次の意匠権(以下「本件意匠権」といい、その登録意匠を「本件意匠」という。)を有する。

登録番号 第六二八六三五号

意匠に係る物品 フィルムカートリッジ

出願日 昭和五五年一〇月九日

登録日 昭和五九年四月五日

本件意匠の構成 本判決添付の意匠公報写し(以下「本件意匠公報」という。)記載のとおり

2 被告は、別紙目録(一)記載のフィルムカセット(以下「被告製品(一)」という。)を業として製造、販売している。

3(一) 被告製品(一)に係る意匠(以下「被告意匠」という。)の構成は、別紙目録(一)記載のとおりである。

(二) 本件意匠と被告意匠とを対比すると、次のとおりである。

(1) 〈1〉底面が、四分の三円と一辺の長さが半径に等しい正方形を組み合わせた形状をした柱状体の上部に小さい円筒状の物が付属するフィルム供給室と、〈2〉フィルム供給室と同様の形状で大きさがやや大きいフィルム巻取室とを、〈3〉ブリッジで連結した、という基本的構成において同一である。

(2) 更に、〈1〉ブリッジの水平連結部の形状がフィルム供給室とフィルム巻取室からの立上がり部分からやや細くなっている点、〈2〉フィルム供給室とフィルム巻取室の大きさの比率、フィルム供給室とフィルム巻取室の上部には、大小の円柱状突起部の存する点、〈3〉ブリッジの立上がり部が門構え形状となっている点等、具体的構成においても同一である。

(3) 他方、〈1〉ブリッジの水平連結部の厚さの薄い部分と厚い部分とが占める割合、〈2〉被告意匠のブリッジ脚部の形状が上に行くほど細くなっている点、〈3〉被告意匠の平面図、底面図において、ブリッジ脚部とフィルム供給室及びフィルム巻取室との間に若干の隙間がある点、に差異があるにすぎない。

右の差異は微差であり、フィルムカートリッジとして特に目立つほどのものでなく、大差を感じさせず、前記基本的構成及び主な具体的構成の共通点から引き起こされる共通した印象を破るほどのものではない。

(三) したがって、両者は、略同一に近い類似であり、被告意匠は、本件意匠権の権利範囲に属する。

(特許権に基づく請求)

4 原告は、次の特許権(以下「本件特許権」といい、その特許発明を「本件発明」という。)を有する。

登録番号 第一三四四九三八号

発明の名称 内視鏡用フィルムカセット

出願日 昭和五七年七月二〇日

出願公告日 昭和六一年三月一四日

登録日 昭和六一年一〇月二九日

5 本件発明の特許願に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の特許請求の範囲の記載は、本判決添付の特許公報写し(以下「本件特許公報」という。)の該当欄記載のとおりである。

6 本件発明の構成要件を分説すると次のとおりである。

A ブリッジを間にしてフィルム供給部とフィルム巻取り部を形成したフィルムカセットにおいて、

B 上記フィルム巻取り部を構成するスプールをフィルム巻取り用の外筒とカメラのフィルム巻上げ軸と係合する内筒との二重構造とし、

C この内筒はスラスト方向は移動自在で、

D 回転方向は外筒と係合して一体に回転することを特徴とする

E 内視鏡用フィルムカセット

7 被告は、別紙目録(二)記載のフィルムカセット(以下「被告製品(二)」という。)を業として製造、販売している(実用新案権に基づく請求(その一)、(その二)と共通)。

8 被告製品(二)の構成を本件発明の構成要件の分説に対比して示すと、次のとおりである。

a フィルム供給部6を形成する第一の円筒部9とフィルム巻取り部7を形成する第二の円筒部10がブリッジ5とともに一体成型された下部ケースと、第一、第二の円筒部9、10の上面開口部を着脱可能に閉塞する蓋体11、12からなっている。

b フィルム巻取り部7を形成する第二の円筒部10の底部には開口部14が設けられ、この開口部14の開口縁には上方へ突出する突堤15が突設されている。また、蓋体12にも開口部14と対向し、これより大径の開口部16が設けられ、この開口部16の開口縁には下方へ突出する突堤からなる軸受部17が設けられている。この開口部14、16間にはスプール18が回転自在に嵌合している。このスプール18は内筒19と外筒20とから構成されており、内筒19はその下部に設けた環状溝21が突堤15と嵌合し、外筒20はその上部に設けた環状溝22が軸受部17と回転自在に係合している。そして、内筒19はその底部23が開口部14から露出しており、その上部には開口部16から露出する係合爪部24が設けられている。カメラ本体2の裏蓋3を開放した状態においてカセット1をカセット収納室4にその後方から所定位置に装填したのち、裏蓋3を閉塞すると、裏蓋3の突起32によりカメラの内部機構を解除して押上げピン33を上方へ突出し、カセット1のフィルム巻取り部7における内筒19の底部23に当接する。このとき内筒19は圧縮バネ30の反発力により下方に付勢されているが、押上げピン33の押上げ力により内筒19は別紙目録(二)添付第2図の二点鎖線が示す位置に上昇し、内筒19の係合爪部24はカメラ本体2内部のフィルム巻上軸の爪部に係合する。

c 外筒20の内周面には上下方向にわたって三本の案内溝27が設けられている。また、内筒19の外周面には案内溝27と対応する三本の係止爪28が突設され、それら係止爪28は案内溝27と係合している。

d 右cの構成から明らかなように、内筒19は、外筒20に対して回転不能に係合されており、一体になって回転する。

9 本件発明と被告製品(二)とを対比すると次のとおりである。

(一) 被告製品(二)の「ブリッジ5」は本件発明の「ブリッジ」に、被告製品(二)の「フィルム供給部6」は本件発明の「フィルム供給部」に、被告製品(二)の「フィルム巻取り部7」は本件発明の「フィルム巻取り部」に、被告製品(二)の「スプール18」は本件発明の「スプール」に、被告製品(二)の「外筒20」は本件発明の「外筒」に、被告製品(二)の「内筒19」は本件発明の「内筒」に、それぞれ該当する。

(二) 被告製品(二)は、その構成aによれば、ブリッジ5を間にしてフィルム供給部6とフィルム巻取り部7とから構成されているから、本件発明の構成要件Aを充足する。

(三) 被告製品(二)は、その構成bによれば、フィルム巻取り部7を構成するスプール18が、回転自在に嵌合している。このスプール18は内筒19と外筒20とから構成されており、内筒19プール18が、フィルム巻取り用の外筒20と、カメラのフィルム巻上げ軸と係合し、かつ外筒20の内側にある内筒19との二重構造となっているから、本件発明の構成要件Bを充足する。

(四) 被告製品(二)の内筒19は、被告製品(二)の構成cによれば、スラスト方向に移動自在であるから、被告製品(二)は、本件発明の構成要件Cを充足する。

(五) 被告製品(二)の構成dによれば、被告製品(二)は、本件発明の構成要件Dを充足する。

(六) 被告製品(二)は、本件発明の構成要件Eを充足する。

(七) 以上のとおり、被告製品(二)は、本件発明の構成要件を全て充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。

(実用新案権に基づく請求(その一))

10 原告は、次の実用新案権(以下「本件実用新案権(一)」といい、その考案を「本件考案(一)」という。)を有する。

登録番号 第一六五六八一六号

考案の名称 フィルムカセット

出願日 昭和五七年八月一〇日

出願公告日 昭和六一年三月二五日

登録日 昭和六一年一〇月二九日

11 本件考案(一)の実用新案登録願に添付した明細書(以下「本件実用新案明細書(一)」という。)の実用新案登録請求の範囲の記載は、本判決添付の昭和六一年第九四一三号実用新案公報写し(以下「本件実用新案公報(一)」という。)の該当欄記載のとおりである。

12 本件考案(一)の構成要件を分説すると次のとおりである。

A′ ブリッジを間にしてフィルム供給部とフィルム巻取り部を形成したフィルムカセットにおいて、

B′ 上記フィルム巻取り部を構成するスプールをフィルム巻取り用の外筒とカメラのフィルム巻上げ軸と係合する内筒との二重構造としてカセット本体内に収納し、

C′ このカセット本体に上記外筒の軸受部を設け、

D′ この外筒に対して内筒をスラスト方向移動自在に設けたことを特徴とする

E′ フィルムカセット

13 被告製品(二)の構成を本件考案(一)の構成要件の分説に対比して示すと、次のとおりである。

a′ フィルム供給部6を形成する第一の円筒部9とフィルム巻取り部7を形成する第二の円筒部10がブリッジ5とともに一体成型された下部ケースと、第一、第二の円筒部9、10の上面開口部を着脱自在に閉塞する蓋体11、12からなっている。

b′ フィルム巻取り部7を形成する第二の円筒部10の底部には開口部14が設けられ、この開口部14の開口縁には上方へ突出する突堤15が突設されている。また、蓋体12にも開口部14と対向し、これより大径の開口部16が設けられ、この開口部16の開口縁には下方へ突出する突堤からなる軸受部17が設けられている。この開口部14、16間にはスプール18が回転自在に嵌合している。このスプール18は内筒19と外筒20とから構成されており、内筒19はその下部に設けた環状溝21が突堤15と嵌合し、外筒20はその上部に設けた環状溝22が軸受部17と回転自在に係合している。そして、内筒19はその底部23が開口部14から露出しており、その上部には開口部16から露出する係合爪部24が設けられている。カメラ本体2の裏蓋3を開放した状態においてカセット1をカセット収納室4にその後方から所定位置に装填したのち、裏蓋3を閉塞すると、裏蓋3の突起32によりカメラの内部機構を解除して押上げピン33を上方へ突出し、カセット1のフィルム巻取り部7における内筒19の底部23に当接する。このとき内筒19は圧縮バネ30の反発力により下方に付勢されているが、押上げピン33の押上げ力により内筒19は別紙目録(二)添付図面の第2図の二点鎖線が示す位置に上昇し、内筒19の係合爪部24はカメラ本体2内部のフィルム巻上軸の爪部に係合する。

c′ 右b′のとおり、フィルム巻取り部7を形成する第二の円筒部10の上面開口部を閉塞する蓋体12の開口部16の開口縁には下方へ突出する突堤からなる軸受部17が設けられ、外筒20はその上部に設けた環状溝22が軸受部17と回転自在に係合している。

d′ 外筒20の内周面には上下方向にわたって三本の案内溝27が設けられている。また、内筒19の外周面には案内溝27と対応する三本の係止爪28が突設され、それら係止爪28は案内溝27と係合している。

14 本件考案(一)と被告製品(二)とを対比すると次のとおりである。

(一) 被告製品(二)の「ブリッジ5」は本件考案(一)の「ブリッジ」に、被告製品(二)の「フィルム供給部6」は本件考案(一)の「フィルム供給部」に、被告製品(二)の「フィルム巻取り部7」は本件考案(一)の「フィルム巻取り部」に、被告製品(二)の「スプール18」は本件考案(一)の「スプール」に、被告製品(二)の「外筒20」は本件考案(一)の「外筒」に、被告製品(二)の「内筒19」は被告製品(二)の「内筒」に、被告製品(二)の「軸受部17」は本件考案(一)の「軸受部」に、それぞれ該当する。

(二) 被告製品(二)は、その構成a′によれば、ブリッジ5を間にしてフィルム供給部6とフィルム巻取り部7とから構成されているから、本件考案(一)の構成要件A′を充足する。

(三) 被告製品(二)は、その構成b′によれば、フィルム巻取り部7を構成するスプール18が、フィルム巻取り用の外筒20と、カメラのフィルム巻上げ軸と係合する内筒19との二重構造としてカセット本体内に収納されているから、本件考案(一)の構成要件B′を充足する。

(四) 被告製品(二)は、その構成c′によれば、カセット本体に外筒20の軸受部17が設けられているから、本件考案(一)の構成要件C′を充足する。

(五) 被告製品(二)の内筒19は、被告製品(二)の構成d′によれば、外筒20に対し、スラスト方向に移動自在であるから、被告製品(二)は、本件考案(一)の構成要件D′を充足する。

(六) 被告製品(二)は、本件考案(一)の構成要件E′を充足する。

(七) 以上のとおり、被告製品(二)は、本件考案(一)の構成要件を全て充足するから、本件考案(一)の技術的範囲に属する。

(実用新案権に基づく請求(その二))

15 原告は、次の実用新案権(以下「本件実用新案権(二)」といい、その考案を「本件考案(二)」という。)を有する。

登録番号 第一六五六八一七号

考案の名称 フィルムカセット

出願日 昭和五七年八月二四日

出願公告日 昭和六一年三月二五日

登録日 昭和六一年一〇月二九日

16 本件考案(二)の実用新案登録願に添付した明細書(以下「本件実用新案明細書(二)」という。)の実用新案登録請求の範囲の記載は、本判決添付の昭和六一年第九四一四号実用新案公報写し(以下「本件実用新案公報(二)」という。)の該当欄記載のとおりである。

17 本件考案(二)の構成要件を分説すると次のとおりである。

A″ フィルム供給部を形成する第1の円筒体と

B″ フィルム巻取り部を形成する第2の円筒体

C″ との間が連結部によって連結されるフィルムカセットにおいて、

D″ 少なくとも前記第1、第2の円筒体の何れか一方における前記連結部の外側面と同方向側の周面に手掛け部を設けたことを特徴とする

E″ フィルムカセット

18 被告製品(二)の構成を本件考案(二)の構成要件の分説に対比して示すと、次のとおりである。

a″ フィルム供給部6を形成する第一の円筒部9と、

b″ フィルム巻取り部7を形成する第二の円筒部10が

c″ ブリッジ5によって連結されるフィルムカセットである。

すなわち、フィルム供給部6を形成する第一の円筒部9とフィルム巻取り部7を形成する第二の円筒部10がブリッジ5とともに一体成型された下部ケースと、第一、第二の円筒部9、10の上面開口部を着脱可能に閉塞する蓋体11、12からなっている。

d″ 第一の円筒部9におけるブリッジ5の外側面と同方向の周面には上下方向に伸びる突起(手掛け部)13が設けられている。

19 本件考案(二)と被告製品(二)とを対比すると次のとおりである。

(一) 被告製品(二)の「第一の円筒部9」、「第二の円筒部10」、「ブリッジ5」、「突起13」は、それぞれ本件考案(二)の「第1の円筒体」、「第2の円筒体」、「連結部」、「手掛け部」に該当する。

(二) 被告製品(二)の構成a″、b″、c″、d″は、それぞれ本件考案(二)の構成要件A″、B″、C″、D″を充足する。また、被告製品(二)は、本件考案(二)の構成要件E″を充足する。

(三) 以上のとおり、被告製品(二)は、本件考案(二)の構成要件を全て充足するから、本件考案(二)の技術的範囲に属する。

(四) 被告は、本件考案(二)の構成要件D″中の「連結部の外側面と同方向側の周面に手掛け部を設け」との記載にいう「外側面」とは、本件実用新案明細書(二)の実施例にある両円筒体2、3の周面と接する外側面4aであるとの解釈により、被告製品(二)が本件考案(二)の技術的範囲に属しない旨主張する。

しかし、被告が言及する実施例の記載は、あくまで実施例であって、本件考案(二)の一つの具体例であるにすぎない。本件実用新案明細書(二)の実用新案登録請求の範囲の記載から明らかなように、連結部の外側面が円筒体の周面と接した構成となっていることは本件考案(二)の構成要件ではない。右実用新案登録請求の範囲の記載で連結部の外側面に言及しているのは、手掛け部の位置を特定するためである。フィルムカセットをカメラに装着した場合に、カメラの内部に向いた位置に手掛け部を設けても無意味であるので、外側に向く位置、すなわち円筒体の周面のうち連結部の外側面と同方向側に手掛け部を設けることを規定したのである。連結部の外側面が特定の構成になっている必要はいささかもない。

被告製品(二)において、手掛け部が設けられている円筒体の周面が連結部の外側面と同方向側であることは明らかであり、被告の主張は理由がない。

(差止請求)

20 よって、原告は、被告に対し、本件意匠権に基づき被告製品(一)の製造、販売の差止めを、本件特許権、本件実用新案権(一)及び(二)に基づき被告製品(二)の製造、販売の差止めを求める。

(損害額)

21(一) 被告は、故意又は過失により、昭和五九年四月五日から平成二年七月末日までの間に、被告製品(一)を一ダース当たり七五〇〇円で三五七二ダース販売したので、販売額合計が二六七九万円となるところ、被告の被告製品(一)一ダース当たりの利益率は三〇%を下回ることはないから、合計八〇三万七〇〇〇円の利益をあげ、原告は、同額の損害を被ったものと推定される。

(二) 被告は、故意に又は過失により、昭和六一年三月一四日から平成二年七月末日までの間に、被告製品(二)を一ダース当たり七五〇〇円で一万七四三七ダース販売したので販売額合計が一億三〇七七万七五〇〇円となるところ、被告の被告製品(二)一ダース当たりの利益率は三〇%を下回ることはないから、合計三九二三万三二五〇円の利益をあげ、原告は、同額の損害を被ったものと推定される。

(損害賠償請求)

22 よって、原告は、被告に対し、本件意匠権を侵害する被告製品(一)の販売による損害賠償金八〇三万七〇〇〇円、本件特許権、本件実用新案権(一)及び(二)を侵害する被告製品(二)の販売による損害賠償金三九二三万三二五〇円の合計金四七二七万〇二五〇円の内金四三六九万六九五〇円、並びにこれに対する平成二年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求の原因に対する認否

1  請求の原因1は認める。

2  請求の原因2については、被告が過去に被告製品(一)を販売していたことは認め、その余は否認する。

3  請求の原因3(一)は認め、同3(二)及び(三)は否認する。

4  請求の原因4ないし6は認める。

5  請求の原因7については、被告が過去に被告製品(二)を販売していたことは認め、その余は否認する。

6  請求の原因8のa、c、dは認める。同b中「カメラ本体2の裏蓋3を開放した状態においてカセット1をカセット収納室4にその後方から所定位置に装填したのち、……内筒19の係合爪部24はカメラ本体2内部のフィルム巻上軸の爪部に係合する」は知らず、その余は否認する。

7  請求の原因9は否認する。

8  請求の原因10ないし12は認める。

9  請求の原因13のa′、c′、d′は認める。同b′中「カメラ本体2の裏蓋3を開放した状態においてカセット1をカセット収納室4にその後方から所定位置に装填したのち、……内筒19の係合爪部24はカメラ本体2内部のフィルム巻上軸の爪部に係合する」は知らず、その余は否認する。

10  請求の原因14は否認する。

11  請求の原因15ないし17は認める。

12  請求の原因18のa″、b″、c″は認める。同d″は否認する。

13(一)  請求の原因19は否認する。

(二)  本件考案(二)の構成要件D″は、「少なくとも前記第1、第2の円筒体の何れか一方における前記連結部の外側面と同方向側の周面に手掛け部を設け」というものであるところ、「連結部の外側面と同方向側の周面」の意味が不明であって、その構成が特定できない。本件実用新案明細書(二)の考案の詳細な説明には、「この連結部4には第1、第2の両円筒体2、3の周面とそれぞれ接する外側面4aが設けられている。」(本件実用新案公報(二)二頁3欄八行ないし一〇行)との記載があり、したがって、連結部4の外側面4aは、第1、第2の両円筒体2、3の周面とそれぞれ接して設けられているのであり、これは本件考案(二)の実用新案登録願添付の図面の第1図の記載からも明らかである。

被告製品(二)のブリッジ5は、薄板より構成され、両端をフィルム巻取り部7の下面端部とフィルム供給部6の下面端部に固定して水平状態に配置されている。そうすると、フック(突起)13は、円筒体の周面と接するブリッジの外側面にはないことになる。したがって、被告製品(二)は、本件考案(二)の構成要件D″を欠くから、本件実用新案権(二)の侵害は成立しない。

14  請求の原因20は争う。

15(一)  請求の原因21(一)のうち、被告が昭和五九年四月から平成二年七月までの間に、被告製品(一)を別紙一覧表(一)記載のとおりの病院等に総販売数欄記載 の数量合計六〇四ダース販売したことは認め、その余は否認する。

(二)  同21(二)のうち、被告が昭和六一年三月から平成二年七月までの間に、被告製品(二)を別紙一覧表(二)記載のとおりの病院等に総販売数欄記載の数量合計五〇六二ダース販売した他、同期間のその余の販売分を加えて総合計一万ダース販売したことは認め、その余は否認する。

16  請求の原因22は争う。

三  被告の主張

1  特許権に基づく請求について

本件特許明細書には、本件発明の効果として、「カメラに対するフィルムカセットの着脱時にフィルム巻上げ軸を上下動させることなく容易に着脱することができる。したがって、カメラ側の構造が簡素化し、小型化を図ることができる」(本件特許公報四頁8欄二四行ないし二八行)と記載されている。

本件発明が右効果を奏するためには、フィルムカセットの装着時あるいは取出し時に内筒が一定位置にあること、つまり「内筒21の上面は外筒22および蓋体15と面一に保持され」(同二頁4欄二〇行ないし二一行)た状態でなければならない。すなわち、フィルムカセットのカメラへの装填時に、内筒の上端が外筒及び蓋体から突出した状態では、内筒の上端がカメラにぶつかりフィルムカセットを装着できない。また、撮影後カメラからフィルムカセットを取り出す際に、内筒が完全にフィルムカセット内に収納されていなければ、内筒がフィルム巻上げ軸にぶつかって、フィルムカセットをカメラから取り出すことができなくなる。

したがって、本件発明の右効果を奏し、発明の目的を達成するためには、内筒は、外筒に対して単に移動自在であるだけでなく、フィルムカセットの着脱時に、内筒の上端を外筒及び蓋体と面一に保持するための手段(例えば、圧縮ばね)が、発明の構成として必要である。

ところが、本件特許明細書の特許請求の範囲には、「内筒」について「スラスト方向は移動自在」と記載されており、内筒が外筒に対して移動できるという状態を示すのみであって、フィルムカセットの着脱時に内筒の上端を外筒及び蓋体と面一に保持するための手段の記載がなく、したがって、右特許請求の範囲によっては、本件発明の効果を奏することができない。

そうすると、本件特許権は、特許法三六条五項(昭和六〇年五月二八日法律第四一号による改正前のもの)に違反し、同法一二三条一項三号(右同)の無効事由があり、無効事由ある権利に基づく原告の本件差止等請求は、権利の濫用である。

2  実用新案権に基づく請求(その一)について

本件実用新案明細書(一)には、本件考案(一)の効果として、「フィルムの張力が外筒にかかってもその張力が内筒に加わることがなく、内筒のスラスト方向の移動を円滑に行うことができ、フィルム巻上げ軸との係脱が容易である」(本件実用新案公報(一)四頁8欄二四行ないし二七行)と記載されている。

本件考案(一)が右効果を奏するためには、フィルムカセットの装着時あるいは取出し時に内筒が一定位置にあること、つまり「内筒21の上面は外筒22および蓋体15と面一に保持され」(同二頁4欄二九行ないし三〇行)た状態でなければならない。すなわち、フィルムカセットのカメラへの装填時に、内筒の上端が外筒及び蓋体から突出した状態では、内筒の上端がカメラにぶつかりフィルムカセットを装着できない。また、撮影後カメラからフィルムカセットを取り出す際に、内筒が完全にフィルムカセット内に収納されていて、常に内筒の上端が外筒及び蓋体と面一に保持されていなければ、内筒がフィルム巻上げ軸にぶつかって、フィルムカセットをカメラから取り出すことができなくなる。

この干渉を防止し、フィルムカセットを「フィルム巻上げ軸との係脱が容易」にするためには、内筒は、外筒に対して単に移動自在であるだけでなく、フィルムカセットの着脱時に、内筒の上端を外筒及び蓋体と面一に保持するための手段が、考案の構成として必要である。

ところが、本件実用新案明細書(一)の実用新案登録請求の範囲には、「内筒」について「スラスト方向は移動自在」と記載されており、内筒が外筒に対して移動できるという状態を示すのみであって、フィルムカセットの着脱時に内筒の上端を外筒及び蓋体と面一に保持するための手段の記載がなく、したがって、右実用新案登録請求の範囲によっては、本件考案(一)の効果を奏することができない。

そうすると、本件実用新案権(一)は、実用新案法五条四項(昭和六二年五月二五日法律第二七号による改正前のもの)に違反し、同法三七条一項三号(右同)の無効事由があり、無効事由ある権利に基づく原告の本件差止等請求は、権利の濫用である。

3  本件差止請求について

(一) 原告は、本件意匠権の実施品、本件特許権、本件実用新案権(一)、(二)の実施品にフィルムを装填した原告商品を現像料込みで販売している。しかも、原告は、右現像料について、原告の指定する特定の現像所において現像する場合のみ無料としている。したがって、原告商品を購入した消費者は、二重に現像料を支払うのを避けるために、事実上、原告の指定する現像所に現像を依頼することを強制される。ところが、原告は、現像所を各地域ごとに一箇所しか指定せず(例えば、北海道においては札幌市北区に一箇所指定するのみである。)、そのため、法外な利益を独占している。

また、市販の通常のカラーフィルム(サイズが三五mm×三〇〇mmで二四枚撮りのリバーサル用のカラーフィルム)の定価が、現像料、マウントケース込みで一一〇〇円程度であるのに対し、原告商品のフィルムは、一六mm×三七mmで二〇コマに過ぎないにもかかわらず、現像料込みで一三〇〇円の価格であり、原告は、著しく高価な商品を消費者に売りつけているのである。その上、原告は、現像を独占するために、現像料を著しく低額に抑えていると推定される。

更に、原告は、自らの利益を確保するため、現像所を特定しているので、北海道内の多数の病院からの現像依頼が一箇所に集中し、現像に時間がかかりすぎ、ひどいときには一週間以上もかかり、しかも、病院からの個別の要請に応じた現像方法もできず、患者の検査という目的を十分に達成することができない。

他方、原告の本件特許権及び本件意匠権の保護の範囲は、あくまでもフィルムの販売に限られるのであり、現像について右権利が及ぶものではない。

(二) 以上のような原告の販売方法は、意匠権、特許権等で保護された権利範囲を逸脱し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)三条に違反する取引に該当する。原告は、右のような違法な取引によって、消費者に対して莫大な損害を与えている。

(三) 被告は、原告に対し、再三現像所開設の要請をしたにもかかわらず、原告がこれに応じなかったため、消費者である医師等からの要請を断りきれず、迅速なかつ個別の注文に応じた現像を行うため、やむなく被告製品(一)及び(二)を入手して販売しているのである。

したがって、原告の請求中、被告製品(一)及び(二)の販売行為差止めの部分は、権利の濫用である。

四  被告の主張に対する原告の認否及び反論

1  被告の主張1について

(一) 被告の主張1は争う。

(二) 被告の主張する無効事由は、次のとおり全く理由のないものである。

本件発明ば、被告の主張するような「フィルムカセットの着脱時に内筒の上端を外筒及び蓋体と面一に保持するための手段」を必須の構成要件とするものではない。

すなわち、本件発明の目的は、カメラに対するフィルムカセットの着脱操作が容易に行うことができ、またカメラの小型化を図ることができる内視鏡用フィルムカセットを提供しようとするものであり、そのために、フィルムカセットのフィルム巻取り部を構成するスプールを、外筒と内筒との二重構造として、外筒をフィルムの巻取り用とし、内筒は、カメラのフィルム巻上げ軸に係脱自在にするために、スラスト方向に移動自在とし、また前記外筒に内筒の回転を伝達するために、回転方向は外筒と係合して一体に回転するように構成したものである。

このように構成したことにより、本件発明は、内筒をスラスト方向に移動自在にしたから、カメラに対するフィルムカセットの着脱時にフィルム巻上げ軸を上下動させることなく、容易に着脱することができ、更に、そのためカメラ側の構造が簡素化し、小型化を図ることができる、という本件特許明細書記載の作用効果が得られるのである。

したがって、本件特許明細書の特許請求の範囲の記載のみによって本件発明の目的を達し、効果を奏していることが明らかである。被告のいう内筒をスラスト方向へ付勢しておき、内筒の上端を外筒及び蓋体と面一にするという構成は、内筒の上端が出ていると取出し時に引っ掛かるということのようであるが、このような構成がなくても内筒を下げることはいくらでも可能(例えば円筒の自重を利用する。)である。

2  被告の主張2について

(一) 被告の主張2は争う。

(二) 被告の主張する無効事由は、次のとおり全く理由のないものである。

本件考案(一)は、被告の主張するような「フィルムカセットの着脱時に内筒の上端を外筒及び蓋体と面一に保持するための手段」を必須の構成要件とするものではない。

すなわち、本件考案(一)の目的は、カメラに対するフィルムカセットの着脱操作が容易に行うことができ、また、内筒のスラスト方向への移動を円滑に行うことができるところのフィルムカセットを提供しようとするものであり、そのために、フィルムカセットのフィルム巻取り部を構成するスプールを、外筒と内筒との二重構造としてカセット本体内に収納し、外筒はフィルムの巻取り用として、カセット本体に設けた軸受部によって、回転自在に軸支され、また、内筒は、カメラのフィルム巻上げ軸の回転を、外筒に伝達するとともに、カメラに対するフィルムカセットの着脱操作を容易にするために、外筒に対してスラスト方向に移動自在としたものである。

このように構成することにより、本件考案(一)は、カメラに対するフィルムカセットの着脱時に、内筒をカメラのフィルム巻上げ軸の爪部から外れる方向に下降させ、該フィルム巻上げ軸を上下動させることなく、容易にフィルムカセットを着脱することが可能となり、また、カメラの使用時には、内筒をカメラのフィルム巻上げ軸の爪部と係合する方向へ上昇させるだけで、カメラのフィルム巻上げ軸によるフィルムの巻取りが可能となったのである。更に、外筒をカセット本体に設けた軸受に回転自在に軸支することによって、フィルムの張力が外筒にかかっても、その張力が内筒に加わることがなく、内筒のスラスト方向の移動を円滑に行うことができ、フィルム巻上げ軸との係脱が容易にできる、という本件実用新案明細書(一)記載の作用効果を奏するものである。

したがって、本件実用新案明細書(一)の実用新案登録請求の範囲の記載の構成のみによって本件考案(一)の目的を達し、効果を奏していることが明らかである。

3  被告の主張3について

被告の主張3(一)ないし(三)は争う。

なお、仮に原告のフィルム販売方法が独占禁止法に触れるとしても、原告の本件意匠権等に基づく被告の侵害行為の差止請求が権利の濫用とならないから、被告の右主張は、失当である。

第三  証拠

証拠関係は、記録中の証拠に関する目録記載のとおりである。

理由

一  意匠権に基づく請求について

1  請求の原因1の事実は当事者間に争いがない。

2  同2の事実のうち被告が過去に被告製品(一)を販売していたことは、当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によれば右販売は業としての販売であることが認められる。

被告が被告製品(一)を製造していることを認めるに足りる証拠はない。

3(一)  請求の原因3(一)の事実は、当事者間に争いがない。

(二)  本件意匠公報によれば、本件意匠の構成は次のとおりである。

(1) 基本的構成

変形円柱体状のフィルム供給部と同じ形状で若干太いフィルム巻取り部とが間隔を置いて並立し、これらの互いに近接する側の側面の上端部を、細い板状のブリッジ部で連結してなる。

(2) 具体的構成

(ア) フィルム供給部は、平面視が、四分の三円とその右上部に一辺の長さが右四分の三円の半径に等しい正方形を組み合わせた形状をした変形円柱体の上部に小さい偏平な円筒状の突起部とを備えたフィルム供給室と、右フィルム供給室の下部に接合した、平面視が同じ形状の変形円柱体の底蓋とからなり、突起部とフィルム供給室と底蓋の高さの比率は、約三・五対一〇対五・五である。

(イ) フィルム巻取り部は、平面視が、フィルム供給部より若干大きい四分の三円とその左上部に一辺の長さが右四分の三円の半径に等しい正方形を組み合わせた形状をした変形円柱体の上部に小さい偏平な円筒状の突起部とを備えたフィルム巻上室と、右フィルム巻上室の下部に接合した、平面視が同じ形状の変形円柱体の底蓋とからなり、突起部とフィルム巻上室と底蓋の高さの比率は、フィルム供給部の場合と同じである。底蓋は、底面視において、中央が円柱状に窪み、その中央の円形部から四本の支脈の出た巻取り機構様のものが見える。

(ウ) ブリッジ部は、フィルム供給室の右側面平坦部の上端部から垂直に立ち上がった中央に切欠きを有する脚部と、フィルム巻上室の左側面平坦部の上端部から垂直に立ち上がった中央に切り欠きを有する脚部と、右両脚部の上端を連結する細い板状の水平連結部とからなる。水平連結部は、その幅が、脚部の幅の約二分の一であり、その厚みが、脚部の厚みとほぼ同一であり、また、平面視において、Ⅰ字状をしている。両脚部は、均一の厚みである。

(三)  別紙目録(一)によれば、被告意匠の構成は次のとおりである。

(1) 基本的構成

変形円柱体状のフィルム供給部と同じ形状で若干太いフィルム巻取り部とが間隔を置いて並立し、これらの互いに近接する側の側面の上端部を、細い板状のブリッジ部で連結してなる。

(2) 具体的構成が

(ア) フィルム供給部は、平面視が、四分の三円とその右上部に一辺の長さが右四分の三円の半径に等しい正方形を組み合わせた形状をした変形円柱体の上部に小さい偏平な円筒状の突起部とを備えたフィルム供給室と、右フィルム供給室の下部に接合した、平面視が同じ形状の変形円柱体の底蓋とからなり、突起部とフィルム供給室と底蓋の高さの比率は、約三・五対一〇・五対六である。

(イ) フィルム巻取部は、平面視が、フィルム供給部より若干大きい四分の三円とその左上部に一辺の長さが右四分の三円の半径に等しい正方形を組み合わせた形状をした変形円柱体の上部に小さい偏平な円筒状の突起部を備えたフィルム巻上室と、右フィルム巻上室の下部に接合して、平面視が柱状体と同じ形状の変形円柱体の底蓋とからなり、突起部とフィルム巻上室と底蓋の高さの比率は、フィルム供給部の場合と同じである。底蓋は、底面視において、中央が円柱状に窪み、その中央の円形部から四本の支脈の出た巻取り機構様のものが見える。

(ウ) ブリッジ部は、フィルム供給室の右側面平坦部の上端部から垂直に立ち上がった中央に切欠きを有する脚部と、フィルム巻上室の左側面平坦部の上端部から垂直に立ち上がった中央に切欠きを有する脚部と、右両脚部の上端を連結する細い板状の水平連結部とからなる。水平連結部は、その幅が、脚部の幅の約二分の一であり、中央部のみが厚くなっており、また、平面視において、ほぼⅠ字状をしており、かつ、両端に脚部の切欠きの一部が現われている。両脚部は、下部が厚く上方に行くにしたがって薄くなっている。

(四)  被告意匠が本件意匠に類似するか否かについて判断する。

前記(二)、(三)認定の事実によれば、本件意匠と被告意匠は、〈1〉フィルム供給部及びフィルム巻取部の突起部、フィルム供給室(フィルム巻上室)、底蓋の高さの比率が、本件意匠では約三・五対一〇対五・五であるのに対し、被告意匠では約三・五対一〇・五対六であること、〈2〉水平連結部が、本件意匠では、その厚みが脚部の厚みとほぼ同一であり、また、平面視においてⅠ字状をしているのに対し、被告意匠では、中央部のみが厚くされており、また、平面視において、ほぼⅠ字状をしており、かつ、両端に脚部の切欠きの一部が現われていること、〈3〉ブリッジの両脚部は、正面視及び背面視において、本件意匠では、均一の厚みであるのに対し、被告意匠では、下部が厚く上方に行くにしたがって薄くなっていること、以上の点において相違しており、その余の基本的構成及び具体的構成は同一である。

そうすると、本件意匠と被告意匠とは、意匠の基本的構成が一致し、また、具体的構成においてもそのほとんどが一致しているのに対して、右〈1〉ないし〈3〉の相違点は、全て微細なものであって、両意匠を全体的に観察した場合、看者に与える美観を同一にすると認められるから、被告意匠は、本件意匠に類似する。

二  特許権に基づく請求について

1(一)  請求の原因4ないし6の事実は当事者間に争いがない。

(二)  同7の事実のうち被告が過去に被告製品(二)を販売していたことは、当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によれば右販売は業としての販売であることが認められる。

被告が被告製品(二)を製造していることを認めるに足りる証拠はない。

2(一)  請求の原因8のa、c、dの事実は当事者間に争いがなく、別紙目録(二)の記載によれば、請求の原因8のbの事実が認められる。

(二)  被告製品(二)が本件発明の構成要件を充足するかどうかについて判断する。

(1) 被告製品(二)は、フィルムカセットであって、本件発明の構成要件Aの「フィルムカセット」に当たることは明らかである。

成立に争いのない甲第四号証(本件特許公報)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品(二)の構成aの「ブリッジ5」は、本件発明の構成要件Aにいう「ブリッジ」に、被告製品(二)の構成aの「フィルム供給部6」は、本件発明の構成要件Aにいう「フィルム供給部」に、被告製品(二)の構成aの「フィルム巻取り部7」は、本件発明の構成要件Aにいう「フィルム巻取り部」にそれぞれ相当するものと認められる。

また、別紙目録(二)によれば、被告製品(二)は、第一の円筒部9と第二の円筒部10とその間にあるブリッジ5とで形成されていることが認められるから、被告製品(二)は、本件発明の構成要件Aを充足する。

(2) 前記甲第四号証及び弁論の全趣旨によれば、被告製品(二)の構成bの「スプール18」は、本件発明の構成要件B′にいう「スプール」に、被告製品(二)の構成bの「外筒20」は、本件発明の構成要件Bにいう「外筒」に、被告製品(二)の構成bの「内筒19」は、本件発明の構成要件Bにいう「内筒」に、それぞれ相当するものと認められる。

別紙目録(二)によれば、被告製品(二)のスプール18はフィルム巻取り部を構成しており、スプール18の外筒20はフィルムを巻き取るものであるから、被告製品(二)は、本件発明の構成要件Bの「フィルム巻取り部を構成するスプール」、「フィルム巻取り用の外筒」を充足する。

被告製品(二)は、被告製品(二)の構成bのとおり、「内筒19の係合爪部24はカメラ本体2内部のフィルム巻上軸の爪部に係合する」という構成であるところ、本件発明は、「内筒」がカメラのフィルム巻上げ軸と係合する構成であるから、被告製品(二)は、本件発明の構成要件Bの「カメラのフィルム巻上げ軸と係合する内筒」を充足する。

被告製品(二)の「スプール18」は、「内筒19と外筒20とから構成されて」いるから、本件発明の構成要件Bの外筒と内筒との「二重構造」に当たることは明らかである。

したがって、被告製品(二)は、本件発明の構成要件Bを充足する。

(3) 被告製品(二)は、構成cのとおり、外筒20の内周面に上下方向にわたって三本の案内溝27が設けられ、内筒19の外周面に右の案内溝27と対応する三本の係止爪28が突設され、係止爪28と案内溝27とが係合するという構成であるから、内筒19が、外筒20内で係止爪28と案内溝27とが摺動することにより、外筒20内を上下方向に移動可能であることは明らかであって、本件発明の構成要件Cを充足する。

(4) 被告製品(二)は、構成cのとおり、「内筒19」と「外筒20」が上下方向にわたって設けられた係止爪28と案内溝27とによって係合されているから、構成dのとおり回転方向においては一体に回転するものと認められ、本件発明の構成要件Dを充足する。

(5) 被告製品(二)は内視鏡用フィルムカセットであるから、本件発明の構成要件Eを充足することは明らかである。

(6) よって、被告製品(二)は、本件発明の構成要件を全て充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。

(三)  被告は、本件発明がその効果を奏し、発明の目的を達成するためには、発明の構成として、フィルムカセットの着脱時に、内筒の上端を外筒及び蓋体と面一に保持するための手段(例えば、圧縮ばね)が必要であるのに、本件特許明細書の特許請求の範囲には、右手段の記載がないから、本件特許権には無効事由があり、無効事由ある権利に基づく原告の本件差止等請求は権利の濫用である旨主張する。

しかしながら、成立に争いのない甲第九号証の一の一ないし三、甲第九号証の二、三及び弁論の全趣旨によれば、被告はその主張の無効事由と同旨の事由に基づき本件特許を無効とする審判を請求したが、平成三年七月四日、本件審判の請求は成り立たないとの趣旨の審決があり、右審決は確定したことが認められ、また、本件特許明細書の記載によれば、被告主張のような手段がなくても本件発明の明細書に記載された効果を奏し、その目的を達成することができるものと認められ(例えば、内筒の自重により内筒を下げることができることは自明である。)、被告主張の無効事由の存在は認められず、被告の右主張は理由がない。

三  実用新案権に基づく請求(その一)について

1  請求の原因10ないし12の事実は当事者間に争いがない。

2(一)  請求の原因13のa′、c′、d′の事実は当事者間に争いがなく、別紙目録(二)の記載によれば、請求の原因13のb′の事実が認められる。

(二)  被告製品(二)が本件考案(一)の構成要件を充足するかどうかについて判断する。

(1) 被告製品(二)は、内視鏡用フィルムカセットであって、本件考案(一)の構成要件A′の「フィルムカセット」に当たることは明らかである。

成立に争いのない甲第六号証の一(本件実用新案公報(一))及び弁論の全趣旨によれば、被告製品(二)の構成a′の「ブリッジ5」は、本件考案(一)の構成要件A′にいう「ブリッジ」に、被告製品(二)の構成a′の「フィルム供給部6」は、本件考案(一)構成要件A′にいう「フィルム供給部」に、被告製品(二)の構成a′の「フィルム巻取り部7」は、本件考案(一)の構成要件A′にいう「フィルム巻取り部」にそれぞれ相当するものと認められる。

また、被告製品(二)は、第一の円筒部9と第二の円筒部10とその間にあるブリッジ5とで形成されていることが認められるから、被告製品(二)は、本件考案(一)の構成要件A′を充足する。

(2) 前記甲第六号証の一及び弁論の全趣旨によれば、被告製品(二)の構成b′の「スプール18」は、本件考案(一)の構成要件B′にいう「スプール」に、被告製品(二)の構成b′の「外筒20」は、本件考案(一)の構成要件B′にいう「外筒」に、被告製品(二)の構成b′の「内筒19」は、本件考案(一)の構成要件B′にいう「内筒」に、それぞれ相当するものと認められる。

別紙目録(二)によれば、被告製品(二)のスプール18は、フィルム巻取り部を構成しており、スプール18の外筒20はフィルムを巻き取るものであるから、被告製品(二)は、本件考案(一)の構成要件B′の「フィルム巻取り部を構成するスプール」、「フィルム巻取り用の外筒」を充足する。

被告製品(二)は、その構成b′のとおり、「内筒19の係合爪部24はカメラ本体2内部のフィルム巻上軸の爪部に係合する」という構成であるところ、本件考案(一)は、「内筒」がカメラのフィルム巻上げ軸と係合する構成であるから、被告製品(二)は、本件考案(一)の構成要件B′の「カメラのフィルム巻上げ軸と係合する内筒」を充足する。

被告製品(二)の「スプール18」は、内筒19と外筒20とから構成されており、また右のような構成の「スプール18」がカセット本体内に収納されていることは、別紙目録(二)から明らかであるから、被告製品(二)は、本件考案(一)の構成要件B′の、外筒と内筒との「二重構造としてカセット本体内に収納し」を充足する。

したがって、被告製品(二)は、本件考案(一)の構成要件B′を充足する。

(3) 前記甲第六号証の一及び弁論の全趣旨によれば、被告製品(二)の構成c′の「軸受部17」は、本件考案(一)の構成要件C′にいう「軸受部」に相当するものと認められるところ、被告製品(二)は、構成c′に示すとおり、「外筒20」はその上部に設けた環状溝22が「軸受部17」と回転自在に係合しているから、本件考案(一)の構成要件C′を充足する。

(4) 被告製品(二)は、構成dに示すとおり、「外筒20」の内周面に、上下方向にわたって三本の案内溝27が設けられ、「内筒19」の外周面に、右の案内溝27と対応する三本の係止爪28が突設され、係止爪28と案内溝27とが係合するという構成であるから、「内筒19」が、外筒20内で係止爪28と案内溝27とが摺動することにより、外筒20内を上下方向に移動可能であることは明らかであって、本件発明の構成要件D′を充足する。

(5) 被告製品(二)は内視鏡用フィルムカセットであるから、本件考案(一)の構成要件E′を充足することは明らかである。

(6) よって、被告製品(二)は、本件考案(一)の構成要件を全て充足するから、本件考案(一)の技術的範囲に属する。

(三)  被告は、本件考案(一)がその効果を奏するためには、その構成として、フィルムカセットの着脱時に、内筒の上端を外筒及び蓋体と面一に保持するための手段が必要であるのに、本件実用新案明細書(一)の実用新案登録請求の範囲には、右構成が記載されていないから、本件実用新案権(一)には無効事由があり、無効事由ある権利に基づく原告の本件差止等請求は権利の濫用である旨主張する。

しかしながら、成立に争いのない甲第一〇号証の一の一ないし三、甲第一〇号証の二、三及び弁論の全趣旨によれば、被告はその主張の無効事由と同旨の事由に基づき、本件実用新案登録(一)を無効とする審判を請求したが、平成三年五月三〇日、本件審判の請求は成り立たないとの趣旨の審決があり、右審決は確定したことが認められ、また本件実用新案明細書(一)の記載によれば、被告主張のような手段がなくても本件実用新案明細書(一)に記載された効果を奏し、その目的を達成することができるものと認められ、被告主張の無効事由の存在は認められず、被告の右主張は理由がない。

四  実用新案権に基づく請求(その二)について

1  請求の原因15ないし17の事実は当事者間に争いがない。

2(一)  請求の原因18のa″、b″、c″の事実は当事者間に争いがなく、別紙目録(二)の記載によれば、請求の原因18のd″の事実が認められる。

(二)  被告製品(二)が本件考案(二)の構成要件を充足するかどうかについて判断する。

(1) 成立に争いのない甲第六号証の二(本件実用新案公報(二))及び弁論の全趣旨によれば、被告製品(二)の構成a″の「第一の円筒部9」は、本件考案(二)の構成要件A″にいう「第1の円筒体」に相当するものと認められる。

被告製品(二)の構成a″の「第一の円筒部9」は、構成a″のとおり、「フィルム供給部6」を形成している。

したがって、被告製品(二)は、本件考案(二)の構成要件A″を充足する。

(2) 前記甲第六号証の二及び弁論の全趣旨によれば、被告製品(二)の構成b″の「第二の円筒部10」は、本件考案(二)の構成要件B″にいう「第2の円筒体」に相当するものと認められる。また、被告製品(二)の構成b″の「第二の円筒部10」は、構成b″のとおり、「フィルム巻取り部7」を形成している。

したがって、被告製品(二)は、本件考案(二)の構成要件B″を充足する。

(3) 被告製品(二)は、内視鏡用フィルムカセットであって、本件考案(二)の構成要件C″の「フィルムカセット」に当たることは明らかである。

前記甲第六号証の二及び弁論の全趣旨によれば、被告製品(二)の構成C″の「ブリッジ5」は、本件考案(二)の構成要件C″にいう「連結部」に相当し、被告製品(二)において、「ブリッジ5」は、「第一の円筒部9」と「第二の円筒部10」を連結している。

したがって、被告製品(二)は、本件考案(二)の構成要件C″を充足する。

(4) 前記甲第六号証の二及び弁論の全趣旨によれば、被告製品(二)の構成d″の「突起13」は、本件考案(二)の構成要件D″にいう「手掛け部」に相当するものと認められる。

次に、本件考案(二)の構成要件D″の「連結部の外側面」の意味について検討する。

本件実用新案明細書(二)の実用新案登録請求の範囲には、「フィルム供給部を形成する第1の円筒体とフィルム巻取り部を形成する第2の円筒体との間が連結部によって連結されるフィルムカセット」との記載があり、右記載によれば、「連結部」の第1の円筒体と第2の円筒体との間において存する位置については、何の限定もない。

本件実用新案明細書(二)の考案の詳細な説明には、「連結部4は第1、第2の円筒体2、3のそれぞれの上面または下面に設けてもよく、また、上、下両面に設けてもよい。」(本件実用新案公報(二)4欄二〇行ないし二三行)との記載がある。

そうすると、「連結部」は、両端を第1の円筒体の下面端部と第2の円筒体の下面端部に固定して水平状態に配置するような構成をも包含するものである。

また、本件実用新案明細書(二)の実用新案登録請求の範囲の記載のみからは、「連結部の外側面」の方向は明らかでないが、甲第六号証の二によれば、同明細書の考案の詳細な説明には、従前技術についての説明として、「カセット室内に装着されているフィルムカセットをカセット室から取り出す際、カセット着脱用の間口部に露出された部分はフィルムカセットの外側面近傍部分だけなので、フィルムカセットを手指でつかみにくい問題があった。」(本件実用新案公報(二)2欄二行ないし七行)との記載があり、本件考案(二)についての説明として、「この考案はカメラのカセット室内に着脱可能に装着されるフィルムカセットの改良に関する。」(本件実用新案公報(二)1欄一〇行及び一一行)、「その目的は、カメラの背面側からフィルムカセットを取り出す操作を容易に行なうことができるとともに、装着操作が面倒なものとなるおそれもないフィルムカセットを提供することにある。」(同2欄二三行ないし3欄一行)、「この考案によれば連結部によって連結されている第1、第2の円筒体のうち少なくとも何れか一方に手掛け部を設けたので、カメラの背面側からフィルムカセットを取り出す操作を容易に行なうことができるとともに、装着操作が格別に面倒になるおそれもない等の実用上優れた効果を奏する。」(同4欄二六行ないし三二行)との記載があることが認められ、右記載によれば、「連結部外側面」とは、連結部の、カメラにフィルムカセットを装着した状態での外側の面、すなわちカメラの背面側の面を意味するものと認められる。

このことは、本件考案(二)の実施例において、「第1の円筒体2における連結部4の外側面4aと周方向側の周面には第1図中で上、下方向に伸びる凸部(手掛け部)5が設けられている。」(同3欄一二行ないし一五行)との記載があり、本件考案(二)の実用新案登録願に添付された図面の第1図及び第3図には、カメラにフィルムカセットを装着したときのカメラの背面側を外側面4aとし、同所に手掛け部5が設けられていることからも明らかである。

被告製品(二)の構成d″の「突起13」は、別紙目録(二)のとおり、ブリッジ5の外側面、すなわち、カメラに装着した時のカメラの背面側の面と同方向の第1の円筒部9の周面において上下方向に伸びて設けられているから、本件考案(二)の構成要件D″の「少なくとも前記第1、第2の円筒体の何れか一方における前記連結部の外側面と同方向側の周面に手掛け部を設けた」との要件を充足する。

したがって、被告製品(二)は、本件考案(二)の構成要件D″を充足する。

被告は、本件考案(二)の構成要件D″の「連結部の外側面と同方向側の周面」の意味が不明であってその構成が特定できない旨、被告製品(二)のブリッジ5は、薄板より構成され、両端をフィルム巻取り部7の下面端部とフィルム供給部6の下面端部に固定して水平状態に配置されているので、フック(突起)13は、円筒体の周面と接するブリッジの外側面にはないことになり、被告製品(二)は本件考案(二)の構成要件D″を欠く旨主張する。

しかしながら、本件考案(二)の「連結部の外側面」の意味は前記判断のとおりであるから、これと「同方向側の周面」の意味は明らかであり、別紙目録(二)の第1図によれば、被告製品(二)のブリッジ5も外側面、すなわち、カメラに装着したときのカメラの背面側の面を有することが認められるから、被告の主張は到底採用することができない。

(5) 被告製品(二)は内視鏡カセットであるから、本件考案(二)の構成要件E″を充足する

(三)  よって、被告製品(二)は、本件考案(二)の構成要件を全て充足するから、本件考案(二)の技術的範囲に属する。

五  差止請求権について

1  前記一ないし四認定の事実によれば、被告による被告製品(一)の販売行為は本件意匠権を侵害し、被告製品(二)の販売行為は本件特許権並びに本件実用新案権(一)及び(二)を侵害するものであり、被告製品(一)又は(二)の販売が本件意匠権又は本件特許権並びに本件実用新案権(一)及び(二)の侵害であることを争う被告の態度と、弁論の全趣旨によって認められる、被告が被告製品(一)、(二)の販売をやめたのは、本件を本案事件として、原告を債権者、被告を債務者とする被告製品の販売禁止の仮処分決定があったためであることに照らせば、被告が再度被告製品(一)、(二)の販売をするおそれが認められるから、原告は、被告に対し、本件意匠権に基づき被告製品(一)の販売の差止請求権及び被告の占有する被告製品(一)の廃棄請求権を、本件特許権、本件実用新案権(一)及び(二)に基づき被告製品(二)の販売の差止請求権並びに被告の占有する被告製品(二)の廃棄請求権を有する。

被告が被告製品(一)、(二)を製造したことが認められないことは前記一2及び二1(二)に判断したとおりであり、それらを製造するおそれも認められないから、被告製品(一)、(二)の製造の差止請求は理由がない。

2  被告は、原告商品の販売方法は独占禁止法三条の規定に違反するものであって、被告は、その違法な状態を解消するために被告製品(一)及び(二)を入手して販売しているのであるから、このような被告の行為に対して意匠権や特許権に基づいて差止めを求めるのは権利の濫用である旨主張する。

しかし、本件意匠権、本件特許権、本件実用新案権(一)、(二)の実施許諾の申込みに応じないことや原告商品の販売方法が独占禁止法に違反することを認めるに足りる証拠はないから、その余の点について判断するまでもなく、右主張は失当である。

六  損害額について

1  被告の被告製品(一)及び(二)の販売行為は、前記五1に認定判断のとおり本件意匠権、本件特許権、本件実用新案権(一)及び(二)(特許権、実用新案権については仮保護の権利を含む。)を侵害するものであるから、意匠法四〇条、特許法一〇三条、平成五年法律第二六号による改正前の実用新案法三〇条によって準用される特許法一〇三条(特許法五二条二項、実用新案法一二条二項により準用される場合を含む。)の規定によって過失があったものと推定される。

したがって、被告は、右各行為により原告が被った損害を賠償すべき義務がある。

2  請求の原因21(一)のうち、被告が昭和五九年四月から平成二年七月までの間に被告製品(一)を少なくとも別紙一覧表(一)記載のとおりの病院等に合計六〇四ダース販売したこと、同21(二)のうち、被告が昭和六一年三月から平成二年七月までの間に、被告製品(二)を別紙一覧表(二)記載の病院等に合計五〇六二ダース販売し、その余の販売分を加えて少なくとも合計一万ダース販売したことは、当事者間に争いがない。

3(一)  成立について当事者間に争いのない甲第一一号証の一ないし七によれば、被告は、別紙甲第一一号証の総括表(一)記載のとおり、昭和五九年四月五日から平成二年七月末までの間に、少なくとも三五箇所の病院に対して被告製品(一)一七一二ダースを代金合計一五六九万六一九〇円で売り渡したことが認められ、被告が自認する別紙一覧表(一)記載の売上ダース数と右書証の記載とを販売先毎に対比して、同一販売先で別紙一覧表(一)の記載の販売数が上回る分はその上回るダース数を、前記書証に販売の記載がなく別紙一覧表(一)に記載のある販売先についてはその販売ダース数を前記一七一二ダースに加えると、二一五九ダースとなるから、被告は前記の期間に被告製品(一)を合計二一五九ダース販売したものと認められる。

右甲第一一号証の一ないし七によれば、同書証に記載された被告製品(一)の単価は、販売先や売上数、時期によって差があるけれども、右一七一二ダースが代金合計一五六九万六一九〇円で売り渡されていることからすれば、右期間中の被告製品(一)の平均単価は一ダース九一六八円と認められる。

したがって、前記の期間の被告製品(一)二一五九ダースの販売による売上額は一九七九万三七一二円と認められる。

(二)  弁論の全趣旨及びこれによって真正に成立したものと認められる乙第一号証によれば、被告が訴外株式会社札幌美光堂との間で昭和五七年三月二〇日に締結した、被告製品(一)等の販売代理店契約には、被告製品(一)等の仕切り価格及び被告の販売価格の覚書による合意が付属しており、右覚書の仕切り価格及び販売価格によれば、販売利益が約三九・五%ないし三五・九%になることが認められるところ、被告において被告製品(一)の仕入価格、販売価格を全面的に開示して、利益率がより低率であることを証明することは極めて容易であると考えられるのに、そうしない被告の態度を考慮すれば、被告の販売政策、札幌美光堂と被告との関係、新製品の出現の有無、経済情勢の変動により、仕入価格や販売価格自体は変動するとしても、前記認定の期間においても、平均的には少なくとも三〇%の販売利益が得られたものと推認することができる。

(三)  ところで、本件意匠権の意匠に係る物品は、フィルムカートリッジであるのに対し、前記甲第一一号証の一ないし七及び弁論の全趣旨によれば、右のとおり販売された被告製品(一)には内視鏡用フィルムが装填されており、右認定の売上額はフィルム代金相当分も含んだものであること、被告製品(一)の製造原価に占める割合としてはフィルム自体の割合も相当に大きいこと、内視鏡フィルムを装填した被告製品(一)の購入者は、医療機関、医師等であり、その使用目的、用途に鑑みると、右購入者は、被告製品(一)の意匠もさることながら、それよりもむしろ、フィルムを含む製品の品質、性能、価格等に強く着目して被告製品(一)を選択購入することが十分に予想されることが認められ、これらの事実を斜酌すると、本件意匠の被告製品(一)の販売による利益に対する寄与率は、六分の一と認めるのが相当である。

(四)  したがって、被告製品(一)の販売によって被告の得た利益中、本件意匠権の侵害行為による利益として、原告の受けた損害と推定されるのは、九八万九〇〇〇円となる。

(一九七九万三七一二円×〇・三÷六≒九八万九〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て。))

4(一)  前記甲第一一号証の三ないし七によれば、被告は、別紙甲第一一号証の総括表(二)記載のとおり、昭和六一年四月一日から平成二年七月末までの間に、四九箇所の病院に対して被告製品(二)四五六二ダースを代金合計三八九一万〇七一〇円で売り渡したことが認められ、被告が自認する別紙一覧表(二)記載の売上ダース数と右書証の記載とを販売先毎に対比して、同一販売先で別紙一覧表(二)の記載の販売数が上回る分はその上回るダース数を、前記書証に販売の記載がなく別紙一覧表(二)に記載のある販売先についてはその販売ダース数を前記四五六二ダースに加えると、七六九九ダースとなるから、被告は前記の期間に被告製品(二)を合計七六九九ダース販売したことに計算上なるが、被告は、昭和六一年四月一日から平成二年七月末までの間に、被告製品(二)を別紙一覧表(二)記載の販売数を含めて一万ダース販売したことを自認している。

(二)  ところで本件につき当裁判所が、平成五年七月六日、特許法一〇五条、実用新案法三〇条の規定に基づき、被告に対し、昭和五九年四月一日から平成二年七月三一日までの期間の被告製品の販売に対応する総勘定元帳、売上帳、仕入帳等の売上高を示す書類ないし帳簿並びに被告製品の右期間の製造又は販売日報、原価明細書等の原価計算及び利益率を示す書類ないし帳簿を同年七月二二日までに提出すべきことを命じた(平成四年(モ)第八八二一号文書提出命令申立事件)のに対し、被告は甲第一一号証の一ないし七の売上帳を提出したに止まることは当裁判所に明らかである。右甲第一一号証の一ないし七中には、被告の自認する別紙一覧表(一)の病院(診療所)名称欄に記載のある河西外科病院、中垣病院への被告製品(一)の売上、病院(診療所)名称欄に記載のある十五島医院、牧山外科医院、大谷地病院、勤医協北区病院、哲仁会えにわ病院、朝里病院、新井病院、富良野協会病院への被告製品(二)の売上が記載されていない外、同じ販売先でも甲第一一号証の一ないし七と被告の自認とでは売上数が違うなど別紙一覧表(一)及び(二)とのくいちがいが多くあり、被告は、前記甲第一一号証の一ないし七以外にも被告製品(一)及び(二)の販売が記載された売上帳を有しているものと推認することができ、また、仕入帳や原価計算及び利益率を示す書類ないし帳簿は全く提出されていない。

したがって、被告は、当裁判所の文書提出命令に従わなかったものである。

(三)  右(一)認定の事実、右(二)のとおり文書提出命令に従わない被告の態度に、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第七号証を総合考慮すれば、昭和六一年三月から平成二年七月までの間の被告製品(二)の販売数量合計は一万七四三七ダースであり、したがって、昭和六一年三月一四日から平成二年七月末日までの間の被告製品(二)の販売数量合計は一万七三〇〇ダースで、被告製品(二)の販売による利益率は三〇%であると推認するのが相当であり、これを左右するに足りる証拠はない。

(四)  右甲第一一号証の三ないし七によれば、同書証に記載された被告製品(二)の単価は、販売先や売上数、時期によって差があるけれども、右四五六二ダースが代金合計三八九一万〇七一〇円で売り渡されていることからすれば、前記の右期間中の被告製品(二)の平均単価は一ダース八五二九円と認められる。

したがって、前記の期間中の被告製品(二)一万七三〇〇ダースの販売による売上額は一億四七五五万一〇〇〇円と推認することができる。

(五)  ところで、本件発明は内視鏡用フィルムカセットに関するもの、本件考案(一)、(二)はともにフィルムカセットに関するものであり、前記甲第一一号証の三ないし七及び弁論の全趣旨によれば、前記のとおり販売された被告製品(二)には内視鏡用フィルムが装填されており、前記認定の売上額はフィルム代金相当分も含んだものであり、被告製品(二)の製造原価に占める割合としてはフィルム自体の割合も相当に大きいこと、内視鏡用フィルムを装填した被告製品(二)の購入者は医療機関、医師等であり、その使用目的、用途に鑑みると、右購入者が、被告製品(二)を選択購入するに当たっては、フィルムカセットの品質、性能もさることながら、フィルム自体の品質、性能に着目して被告製品(二)を選択購入することも少なくないこと、本件発明と本件考案(一)、(二)とを比較すると、本件発明が本件考案(一)、(二)よりも基本的な構造に関するものであるのに対し、本件考案(一)、(二)は補完的、付加的なものであることが認められる。これらの事実を勘酌すると、被告製品(二)の販売が本件発明についての仮保護の権利のみの侵害となる昭和六一年三月一四日から同年三月二四日までは、本件発明の被告製品(二)の販売による利益に対する寄与率は二分の一、本件発明及び本件考案(一)、(二)についての仮保護の権利並びに本件特許権、本件実用新案権(一)、(二)の侵害となる昭和六一年三月二五日以後は、被告製品(二)の販売による利益に対する本件発明の寄与率は四分の一、本件実用新案権(一)、(二)の寄与率は各八分の一と認めるのが相当である。

(六)  したがって、被告製品(二)の販売によって被告の得た利益中、本件特許権、本件実用新案権(一)、(二)(いずれも仮保護の権利を含む。)の侵害行為による利益として、原告の受けた損害と推定されるのは、二二一三万二〇〇〇円となる。

(一億四七五五万一〇〇〇円×〇・三×〇・五≒二二一三万二〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て。))

5  右3及び4によれば、被告の支払うべき損害賠償額は合計二三一二万一〇〇〇円となる。

七  結論

以上によれば、原告の本訴請求のうち、被告に対し、被告製品(一)及び(二)の販売の差止め及びその占有にかかる被告製品(一)及び(二)の廃棄を求める部分並びに被告に対する損害賠償金二三一二万一〇〇〇円及びこれに対する不法行為の日以後である平成二年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める部分は理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条本文、仮執行宣言について同法一九六条一項を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 西田美昭 裁判官 大須賀滋 裁判官宍戸 充は差し支えにより署名押印できない。 裁判長裁判官 西田美昭)

目録(一)

添付図面説明書(1)及び図面に示すフィルムカセット

図面説明書(1)

図面は内視鏡カメラ用のフィルムカートリッジの図である。

このフィルムカートリッジは両側にフィルム供給室1aとフィルム巻上室1bとが設けられており、両室1a、1bは各室の上端面から脚部2により上方に延び出したつまみ3を兼ねたブリッジ部1cで連結されて一体となっている。

フィルム供給室1a内に収納されたフィルムが引き出され、フィルム巻上室1bに巻き取られる場合、フィルムはブリッジ部1cの下方下の位置に張設され、カメラ内での露光位置になるようになっている。

脚部2とつまみ3で囲まれた空間はカメラ本体の係止用板ばねと係合するためのものである。

フィルム供給室1aには底蓋1dが嵌められておりフィルム巻上室1bには底蓋1eが嵌められている。底蓋1eは中央及び上部を開口した二重筒で形成されており、その内筒には上部にフィルム巻上キーを有するフィルム巻上筒が回動自在に嵌合している。上記巻上用キーは、フィルムカートリッジをカメラ本体に装着したとき、巻上用爪と係合するためのものである。

〈省略〉

目録(二)

添付図面説明書(2)及び図面に示すフィルムカセット

図面説明書(2)

この内視鏡用フィルムカセット1はカメラ本体2の裏蓋3を開いた後側より光軸方向にそのカセット収納室4に装填され、装填後にカセット1内のスプールの一部を上方にスライドしてフィルム巻上軸に係合させる形式の内視鏡用フィルムカセットである。

このフィルムカセットは第1図、第2図および第3図に示すように構成されており、このカセット1はブリッジ5を間にしてフィルム供給部6とフィルム巻取り部7とから構成されている。このフィルム供給部6には16mmの未露光フィルム8が巻回した状態で収納され、この一端部はフィルム巻取部7の後述するスプール18の外周面にテープにて接続されている。

このカセット1は、フィルム供給部6を形成する第1の円筒部9とフィルム巻取り部7を形成する第2の円筒部10がブリッジ5とともに一体成型された下部ケースと、第1、第2の円筒部9、10の上面開口部を着脱可能に閉塞する蓋体11、12からなっている。また、第1の円筒部9におけるブリッジ5の外側面と同方向の周面には上下方向に伸びる手掛け部13が設けられている。さらに、第2の円筒部10の底部には開口部14が設けられ、この開口部14の開口縁には上方へ突出する突堤15が突設されている。また、蓋体12にも開口部14と対向し、これより大径の開口部16が設けられ、この開口部16の開口縁には下方へ突出する突堤からなる軸受部17が設けられている。この開口部14、16間にはスプール18が回転自在に嵌合している。このスプール18は内筒19と外筒20とから構成されており、内筒19はその下部に設けた環状溝21が突堤15と嵌合し、外筒20はその上部に設けた環状溝22が軸受部17と回転自在に係合している。そして、内筒19はその底部23が開口部14から露出しており、その上部には開口部16から露出する係合爪部24が設けられている。また、外筒20の上端部は軸受部17と内筒19との間に介在され、下端部は第2の円筒部10の底部に設けられた凹溝からなる軸受部25に嵌合され、外筒20の外周部に形成されたフィルム収納室26を外部と遮断している。さらに、外筒20の内周面には上下方向にわたって3本の案内溝27が設けられている。また、内筒19の外周面には案内溝27と対応する3本の係止爪28が突設され、それら係止爪28が案内溝27に係合することにより、内筒19は外筒20に対して回転不能で且つスラスト方向に移動自在に構成されている。内筒19のスラスト方向のストロークは係止爪28と係合する案内溝27の長さで規制されている。さらに、内筒19と外筒20との問には間隙部29が設けられ、この間隙部29内に圧縮ばね30が介在され、外筒20に対して内筒19を常に下方すなわち係合爪部24が開口部16から没入する方向に付勢している。従って、内筒19の上面は外筒20および蓋体12と面一に保持されている。そして、外筒20の下端近くの内周面には、Cリング31がはめ込まれていて係合爪28の下面と当接することでスプール18をケースから取り出したとしても内筒19と外筒20とが分離してしまうことを防いでいる。

次に、カメラ本体2に対するカセット1の着脱操作を説明すると、カメラ本体2の裏蓋3を解放した状態においてカセット1をカセット収納室4にその後方から所定位置に装填したのち、裏蓋3を閉塞すると、裏蓋3と突起32によりカメラの内部機構を解除して押し上げピン33を上方へ突出し、カセット1のフイルム巻取り部7における内筒19の底部23に当接する。このとき内筒19は圧縮ばね30の反発力により下方に付勢されているが、押し上げピン33の押し上げ力により内筒19は第2図の二点鎖線で示す位置に上昇し、内筒19の係合爪部24はカメラ本体2内部のフィルム巻上軸の爪部に係合する。従って、フィルム巻上軸の回転は係合爪部24を介して内筒19に伝達し、内筒19の回転は係止爪28を介して外筒20に伝達するため、フィルム供給部6内のフィルムを外筒20によって巻取ることが可能となる。

また、撮影が完了してカセット1をカメラ本体2から取り出す場合には裏蓋開閉ツマミを操作して裏蓋3の錠止を解除する。このとき押し上げピン33も下降し、カセット1の内筒19は圧縮ばね30の反発力によって下降して係合爪部24がフィルム巻上軸の爪部から外れる。そして、内筒19の上端は外筒20および蓋体12と面一になり、カセット1をカセット収納室4から後方へ取り出すことができる。この場合にカセット1のフィルム供給部6の外面に設けた手掛け部13を手指で時計方向に押し込むと、カセット1はフィルム供給部6を中心に回動し、フィルム巻取り部7が外部に押し出されて簡単に取り出すことができる。

第1図

〈省略〉

第2図

〈省略〉

第3図

〈省略〉

日本国特許庁

昭和59年(1984)7月6日発行 意匠公報 (S)

J3-37

628635 意願 昭55-41794 出願 昭55(1980)10月9日

登録 昭59(1984)4月5日

創作者 竹林和雄 八王子市片倉町1405の26

意匠権者 オリンパス光学工業株式会社 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43書2号

代理人 弁理士 鈴江武彦 外2名

意匠に係る物品 フイルムカートリツジ

説明 本物品は一方の巻取りリール内に遮光して巻回収納されているフイルムを他方のリール内に巻取るためのカートリツジでおり、主として医療用カメラに使用される。

〈省略〉

〈19〉日本国特許庁(JP) 〈11〉特許出願公告

〈12〉特許公報(B2) 昭61-8420

〈31〉Int.Cl.4G 03 C 3/00 G 02 B 23/00 G 03 B 17/26 識別記号 庁内整理番号 7915-2H 8306-2H 7811-2H 〈21〉〈44〉公告 昭和61年(1986)3月14日

発明の数 1

〈34〉発明の名称 内視鏡用フイルムカセツト

〈21〉特願 昭57-126131 〈65〉公開 昭59-15935

〈22〉出願 昭57(1982)7月20日 〈13〉昭59(1984)1月27日

〈72〉発明者 貴俵厚 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オリンパス光学工業株式会社内

〈72〉発明者 小林一成 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オリンパス光学工業株式会社内

〈71〉出願人 オリンパス光学工業株式会社 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号

〈74〉代理人 弁理士 鈴江武彦 外2名

審査官 原健司

〈37〉特許請求の範囲

1 ブリツジを間にしてフイルム供給部とフイルム巻取り部を形成したフイルムカセツトにおいて、上記フイルム巻取り部を構成するスプールをフイルム巻取り用の外筒とカメラのフイルム巻上げ軸と係合する内筒との二重構造とし、この内筒はスラスト方向は移動自在で、回転方向は外筒と係合して一体に回転することを特徴とする内視鏡用フイルムカセツト。

発明の詳細な説明

この発明は内視鏡用カメラに使用する内視鏡用フイルムカセツトに関する。

内視鏡用フイルムカセツトは、ブリツジを間にしてフイルム供給部とフイルム巻取り部とから構成されている。そして、このフイルムカセツトのフイルム巻取部にはフイルム巻取り用のスプールが回転自在に収納され、フイルムカセツトの上面にはそのスプールと一体の係合爪が露出している。一方、内視鏡用カメラは、そのカメラ本体の裏側に開閉蓋が枢着され開閉蓋を開放してそのカメラ本体内のカセツト収納室に上記フイルムカセツトを装填するようになつている。

この場合、フイルムカセツトをカメラ本体の後側より光軸方向にスライドしてカセツト収納室に装填するようになつているため、装填時のカメラ側のフイルム巻上げ軸とフイルムカセツトとの干渉を避けるために上記フイルム巻上げ軸を上下動可能とし、フイルムカセツト装填時はフイルム巻上げ軸を上方へ退避させ、装填後、下降してフイルムカセツトの係合爪と係合させるように構成されている。

しかしながら、フイルム巻上げ軸を上下動可能にすることは、そのストローク分だけカメラ本体の高さ寸法が大きくなり、また、楼構的にも複義化するという欠点がある。また、撮影後、カメラからフイルムカセツトを取り出す場合には上記フイルム巻上げ軸を上方へ退避させながらフイルムカセツトを取り出す必要があり、フイルムカセツトの着脱操作が面倒であるという事情がある。

この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、フイルム巻取り部を構成するスプールをフイルム巻取り用の外筒とカメラのフイルム巻上げ軸と係合する内筒との二重構造とし、その内筒をスラスト方向移動自在にしてカメラに対するフイルムカセツトの着脱操作が容易に行なうことができ、また、カメラの小形化を図ることができる内視鏡用フイルムカセツトを提供しようとするものである。

以下、この発明を図面に示す一実施例にもとづいて説明する。第1図および第2図は内視鏡用フイルムカセツトを示すもので、1はカセツト本体である。このカセツト本体1はブリツジ2を間にしてフイルム供給部3とフイルム巻取り部4とから構成されている。このフイルム供給部3にはたとえば8ロまたは16ロの末露光のフイルム5が巻回した状態で収納れ、この一端部は上記フイルム巻取り部4の後述するスプール20に接筑されている。

第3図および第4図は内視鏡用カメラを示すもので、6はカメラ本体である。このカメラ本体6内には上記カセツト本体1を装填するカセツト収納室7が設けられている。このカメラ本体6の裏側には上記カセツト収納室7の開口部8を開閉する開閉蓋9が枢着されている。

そして、この開閉蓋9を開放し、カセツト本体1をカメラ本体6の後方からその光軸方向にスライドすることによりカセツト収納室7に装填されるようになつている。

つぎに、上記カセツト本体1について第2図および第5図にもとづいて詳述する。10下部ケース、11は上部ケースである。この下部ケース10には上記フイルム供給部3を形成する第1の円筒部12とフイルム巻取り部4を形成する第2の円筒部13が上記ブリツジ2とともに一体成形されている。また、上記ケース11には上記第1、第2の円筒部12、13の上面開口部を閉塞する蓋体14、15が設けられている。さらに、上記第2の円筒部13の底部には開口部16が設けられ、この開口部16の開口縁には上方へ突出する突堤17が突設されている。また、蓋体15にも上記開口部16と対向し、これより大径の開口部18が設けられ、この開口部18の開口縁には下方へ突出する突堤19が突設されている。そして、この開口部16、18間にはスプール20が回転自在に嵌合されている。このスプール20は内筒21と外筒22とから構成されており、この内筒21はその下部に設けた環状構23が上記突堤17と嵌合し、外筒22はその上部に設けた環状構24が上記突堤19と嵌合している。そして、上記内筒21はその底部25が上記開口部16から露出しており、その上部には開口部18から露出する係合爪部26が設けられている。また、外筒22の上端部は上記突堤19と内筒21との間に介在され、下端部は第2の円筒部13の底部に設けられた案内溝27に挿入され、外筒22の外局部に形成されたフイルム収納室28を外部と遮光している。さらに、この外筒22の内周面には上下方向に亘つて複数の係合溝29が設けられているとともに、この係合溝29の底部には突条部30が設けられている。また、内筒21の外局面には上記係合溝29と対応する複数の係止爪31が突設され、これら係止爪31は係合溝29と係合している。したがつて、内筒21は外筒22に対して回転不能に係合されており、スラスト方向は移動自在に構成されている。この場合、内筒21のスラスト方向のストロークは係止爪31と係合する係合溝29の長さで規制されている。さらに、内筒21と外筒22との間には間隙部32が設けられ、この間隙部32には上端を外筒22の段部22a、下端を内筒21の段部21aに支承した圧縮ばね33が介在され、外筒22に対して内筒21を常に下方、すなわち係合爪部26が開口部18から投入する方向に付勢している。したがつて、内筒21の上面は外筒22および蓋体15と面一に保持されている。

つぎに、上記カメラ本体6について第6図および第7図にもとづいて詳述する。すなわち、34はカセツト収納室7に設けた支持部材で、これはカセツト収納室7の底部35に突設された複数の支持台36…によつて固定されている。したがつてこの支持部材34はカセツト収納室7の底部35と離間しており、この前緑部には枢支軸37が軸支されている。そして、この枢支軸37には上記開閉蓋9の下端部が枢着され、カセツト収納室7の開口部8を開閉するようになつている。また、上記支持部材34の両端部にはカセツト収納室7の両側面に沿つて立設する支持壁38、38が折曲形成されており、この一方の支持壁38すなわち上記カセツト本体1のフイルム巻取り部4と対向すろ側にはスライド板39が設けられている。このスライド板39はL字状に形成され、その従板40は支持壁38の外側面に、横板41は支持部材34の下部にそれぞれ対向している。さらに、スライド板39の従板40には上下方向の長孔42、42が突設され、これら長孔42、42は支持壁38に突設したピン43、43が挿入されている。したがつて、スライド板39は長孔42、42と係合するピン43、43によつて上下方向スライド自在に支持され、付勢ばね44によつて常に上方へ付勢されている。また、このスライド板39の横板41上に押し上げピン45が突設され、これと対向する支持部材34には連孔45aが突設されている。そして、この押し上げピン45は支持部材34上に装填されるカセツト本体1のフイルム巻取り部4における内向21に対向し、スライド板39の上昇時にその底部25と当接して内筒21を圧縮ばね33の復元力に抗して押し上げることができるようになつている。つまり、カセツト収納室7の上部に設けられたフイルム巻上げ軸46の爪部47に対しスプール20と内筒21を押し上げ、その係合爪部26を係合できるようになつている。

また、上記スライド板39の縦板40には切欠部48が設けられ、この切欠部48の下端には係合段部49が形成されている。さらに、この切欠部48と対向する上記支持壁38にはピン50を軸心として回動自在なロツクレバー51が枢支され、これは付勢ばね52によつて反時計方向に付勢されている。このロツクレバー51の上端部には上記開閉蓋9の裏面に突設した押圧部53と対向する作用部54が設けられ、下端部には上記係合段部49に係脱自在な係合部55が設けられている。そして、このロツクレバー51は開閉蓋9に応動し、開放時には付勢ばね52の復元力によつて反時計方向に回動して係合部55が係合段部49に係合してスライド板39を下降位置にロツクし、閉塞時には押圧部53によつて作用部54を押圧し時計方向に回動させて係合部55を係合段部49から退避させてロツクを解除するようになつている。

一方、上記スライド板39の上端部における一側部すなわちカセツト収納室7の開口部8側には折曲部56が設けられ、この折曲部56の先端にはピニオン57と噛合するラツク58が刻設されている。そして、スライド板39の上下運動をラク58を介してピニオン57に回転運動として伝違させるようになつている。このピニオン57はカセツト収納室7の開口部8に沿つて横方向に架設された支持板59に回転自在に軸支されており、この支持板59上にはスライダ60が左右方向スライド自在に設けられている。このスライダ60にはその長手方向に沿う長孔61、61が穿設され、この長孔61、61には支持板59に突設されたピン62、62が挿入されている。そして、このスライダ60は長孔61、61の長さの範囲内において左右方向にスライド自在になつている。このスライダ60の一端部には折曲部63が設けられ、この折曲部63には上記ピニオン57と噛合するラツク64が設けられている。また、スライダ60の他端部には掛止爪65が突設され、これは上記開閉蓋9の裏面に突設したフツク66と係脱可能になつている。すなわち、スライダ60はピニオン57によつて右方ヘスライドしたとき掛止爪65がフツク66に掛止して開閉蓋9を閉塞状態に錠止し、左方ヘスライドしたとき掛止爪65とフツク65との錠止が解除されるようになつており、上記掛止爪65はカメラ本体6の上面に穿設されたスリツト67に貫通して上部へ突出している。

つぎに、上述のように構成されたカメラ本体6に対するカセツト本体1の着脱操作について説明する。カメラ本体6の開閉蓋9を開放した状態においては、ロツクレバー51は第6図に2点鎖線で示すように、付勢ばね52の復元力によつて反時計方向に回動している。したがつて、係合部55はスライド板39の係合段部49に係含しスライド板39を下降状態に保持している。この状態において、カセツト本体1をカメラ本体6のカセツト収納室7にその後方から光軸方向に挿入すると、カセツト本体1はカセツト収納室7の支持部材34上に載置されろ。カセツト本体1をカセツト収納室7の所定位置に装填したのち、開閉蓋9を閉塞すると、ロツクレバー51の作用部54は開閉蓋9の押圧部53に押圧される。したがつて、ロツクレバー51は付勢ばね52の復元力に抗して時計方向に回動し、その係合部55は係合段部49から外れて第6図に実線で示すように保持される。スライド板39のロツクが解除されると、スライド板39は付勢ばね44の復元力によつて上方ヘスライドする。したがつて、押し上げピン45は通孔45aを貫通して上方へ突出じ、カセツト本体1のフイルム巻取り部4における内筒21に当接する。このとき、内筒21は圧縮ばね33によつて下方へ付勢されているが、この圧縮ばね33のばね力より強い付勢ばね44の復元力によつて押し上げられるため押し上げピン45によつて内筒21は上昇し内筒21の係合爪部26はフイルム巻上げ軸46の爪部4に係合する。したがつて、フイルム巻上げ軸46の回転は爪部47に係合する係合爪部26を介して内筒21に伝達し、内筒21の回転は係止爪31を介して外筒22に伝達するため、フイルム供給部3内のフイルム5を外筒22によつて巻取り可能となる。

一方、上記スライド板39の上方へのスライドはラツク58を介してピニオン57に伝達し、さらに、ピニオン57の回軽はラツク64を介してスライダ60に伝達すろ。したがつて、スライダ60は右方ヘスライドし、掛止爪65はフツク66に掛止して開閉蓋9は閉塞状態に錠止されることになる。

また、撮影が完了し、カセツト本体1をカメラ本体6から取り出す場合に、まず、カメラ本体6の上面に突出している掛止爪65を手指によつて左方へ移動すると、掛止爪65はフツク66から外れ、開閉蓋9の錠止は解除される。掛止爪65を左方へ移動すると、スライダ60はこれと一体に左方ヘスライドするため、ラツク64と噛合するピニオン57は逆転する。したがつて、ピニオン57と噛合するラツク58を介してスライド板39は付勢げね44の復元力に抗して下方ヘスライドする。このため、押し上げピン45も下降し、カセツト本体1の内筒21は付勢ばね33の復元力によつて下降して係合爪部26がフイルム巻上げ軸46の爪部47から外れる。そして、内筒21の上端は外筒22および蓋体15と面一になる。そこで、開閉蓋9をその枢支軸37を支点として開放すると、ロツクレバー51は付勢ばね52の復元力によつて反時計方向に回動し、その係合部55が係合段部49に係合する。したがつて、スライド板39は下降状態にロツクされ、カセツト本体1をカセツト収納室7から後方へ取り出すことができる。なお、開閉蓋9の錠止解除はスライド板39を下方ヘスライドすることで行つてもよい。

このように、カメラ本体6に対するカセツト本体1の着脱操作に際し、従来のようにフイルム巻上げ軸46を上下動させることなく、カメラ本体6の後方から着脱でき、装填後は開閉蓋9を閉塞するだけで、この開閉蓋と運動するスライド板39のスライドによつてフイルム巻取り部4の係合爪部26を自動的にフイルム巻上げ軸46の爪部47に係合することができる。

なお、上記一実施例においては、カセツト本体1のフイルム巻取り部4におけるスプール20を内筒21と外筒22との二重構造として内筒21を圧縮ばね33によつて常に下方へ付勢するようにしたが、これに限定されず、内筒を常時上方へ突出する方向に付勢し、カセツト収納室に装填する際に、手指によつて内筒を押し下げながらフイルム巻上げ軸に弾性係合するように構成してもよい。このように構成することなよつて上述したスライド板39およびこれに付随した楼溝が不要となる。

この発明は以上説明したように、フイルム巻取り部を構成するスプールをフイルム巻取り部を構成するスプールをフイルム巻取り用の外筒とカメラのフイルム巻上げ軸と係合する内筒との二重構造とし、その内筒をスラスト方向移動自在に構成したから、カメラに対するフイルムムカセツトの着脱時にフイルム巻上げ軸を上下動させるとなく容易に着脱することができる。したがつて、カメラ側の構造が簡素化し、小形化を図ることができるという効果を〓する。

図面の簡単な説明

図面はこの発明の一実施例を示すもので、第1図はフイルムカセツトの平面図、第2図は同じく正面図、第3図は内視鏡用カメラの縦断背面図、第4図は同じく側面図、第5図はフイルム巻取り部の一部切欠した正面図、第6図はカメラの内部構造を示す一部切欠した縦断側面図、第7図は同じく横断平面図である。

2…ブリツジ、3…フイルム供給部、4…フイルム巻取り部、20…スプール、21…内筒、22…外筒、46…フイルム巻上げ軸。

第1図

〈省略〉

第2図

〈省略〉

第3図

〈省略〉

第4図

〈省略〉

第5図

〈省略〉

第6図

〈省略〉

第7図

〈省略〉

〈19〉日本国特許庁(JP) 〈11〉実用新案出願公告

〈12〉実用新案公報(Y2) 昭61-9413

〈31〉Int.Cl.4G 03 C 3/00 G 02 B 23/00 G 03 B 17/26 識別記号 庁内整理番号 7915-2H 8306-2H 7811-2H 〈21〉〈44〉公告 昭和61年(1986)3月25日

〈34〉考案の名称 フイルムカセツト

〈21〉実願 昭57-121214 〈65〉公開 昭59-25541

〈22〉出願 昭57(1982)8月10日 〈13〉昭59(1984)2月17日

〈72〉考案者 貴俵厚 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オリンパス光学工業株式会社内

〈72〉考案者 小林一成 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オリンパス光学工業株式会社内

〈71〉出願人 オリンパス光学工業株式会社 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号

〈74〉代理人 弁理士 鈴江武彦 外2名

審査官 原健司

〈37〉実用新案登録請求の範囲

(1) ブリツジを間にしてフイルム供給都とフイルム巻取り部を形成したフイルムカセツトにおいて、上記フイルム巻取り部を構成するスプールをフイルム巻取り用の外筒とカメラのフイルム巻上げ軸と係合する内筒との二重構造としてカセツト本体内に収納し、このカセツト本体に上記外筒の軸受部を設け、この外筒に対して内筒をスラスト方向移動自在に設けたことを特徴とするフイルムカセツト。

(2) カセツト本体は、下部ケースと蓋体とからなり、この下部ケースと蓋体に外筒の軸受部を設けていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載のフイルムカセツト。

考案の詳細な説明

この考案は内視鏡用カメラに使用するフイルムカセツトに関する。

内視鏡用フイルムカセツトは、ブリツジを間にしてフイルム供給部とフイルム巻取り部とから構成されている。そして、このフイルムカセツトのフイルム巻取り部にはフイルム巻取り用のスプールが回転自在に収納され、フイルムカセツトの上面にはそのスプールと一体の係合爪が露出している。一方、内視鏡用カメラは、そのカメラ本体の裏側に開閉蓋が枢着され開閉蓋を開放してそのカメラ本体内のカセツト収納室に上記フイルムカセツトを装填するようになつている。

この場合、フイルムカセツトをカメラ本体の後側より光軸方向にスライドしてカセツト収納室に装填するようになつているため、装填時のカメラ側のフイルム巻上げ軸とフイルムカセツトとの干渉を避けるために上記フイルム巻上げ軸を上下動可能とし、フイルムカセツト装填時はフイルム巻上げ軸を上方へ退避させ、装填後、下降してフイルムカセツトの係合爪と係合させるように構成されている。

しかしながら、フイルム巻上げ軸を上下動可能にすることは、そのストローク分だけカメラ本体の高さ寸法が大きくなり、また、楼構的にも複雑化するという欠点がある。また、撮影後、カメラからフイルムカセツトを取り出す場合には上記フイルム巻上げ軸を上方へ退避させながらフイルムカセツトを取り出す必要があり、フイルムカセツトの着脱操作が面倒であるという事情がある。

この考案は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、フイルム巻取り部を構成するスプールをフイルム巻取り用の外筒とカメラのフイルム巻上げ軸と係合する内筒との二重構造とし、その内筒をスラスト方向移動自在にしてカメラに対するフイルムカセツトの着脱操作が容易に行なうことができ、また、上記内筒のスラスト方向の移動を円滑に行なうことがきるフイルムカセツトを提供しようとするものである。

以下、この考案を図面に示す一実施例にもとづいて説明する。第1図および第2図は内視鏡用フイルムカセツトを示すもので、1はカセツト本体である。このカセツト本体1はブリツジ2を間にしてフイルム供給部3とフイルム巻取り部4とから構成されている。このフイルム供給部3にはたとえば8ロまたは16ロの未露光のフイルム5が巻回した状態で収納され、この一端部は上記フイルム巻取り部4の後述するスプール20に接続されている。

第3図A、Bは内視鏡用カメラを示すもので、6はカメラ本体である。このカメラ本体6内には上記カセツト本体1を装填するカセツト収納室7が設けられている。このカメラ本体6の裏側には上記カセツト収納室7の開口部8を開閉する開閉蓋9が枢着されている。

そして、この開閉蓋9を開放し、カセツト本体1をカメラ本体6の後方からその光軸方向にスライドすることによりカセツト収納室7に装填されるようになつている。

つぎに、上記カセツト本体1について第2図、第4図および第5図にもとづいて詳述する。

10は下部ケース、11は蓋体である。この下部ケース10には上記フイルム供給部3を形成する第1の円筒部12とフイルム巻取り部4を形成する第2の円筒部13が上記ブリツジ2とともに一体成形されている。また蓋体11は上記第1、第2の円筒部12、13の上面開口部を着脱可能に閉塞している。さらに、上記第2の円筒部13の底部には開口部16が設けられ、この開口部16の開口縁には上方へ突出する突提17が突設されている。また、蓋体11にも上記開口部16と対向し、これより大径の開口部18が設けられ、この開口部18の開口縁には下方へ突出する突提からなる軸受部19が設けられている。そして、この開口部16、18間にはスプール20が回転自在に嵌合されている。このスプール20は内筒21と外筒22とから構成されており、この内筒21はその下部に設けた環状溝23が上記突提17と嵌合し、外筒22はその上部に設けた環状溝24が上記軸受部19と回転自在に嵌合している。そして、上記内筒21はその底部25が上記開口部16から露出しており、その上部に開口部18から露出する係合爪部26が設けられている。また、外筒22の上端部は上記軸受部19と内筒21との間に介在され、下端部は第2の円筒部13の底部に設けられた凹溝からなる軸受部27に嵌合され、外筒22の外周部に形成されたフイルム収納室28を外部と遮光している。さらに、この外筒22の内周面には上下方向に亘つて2本の案内溝29a、29bが設けられている。この一方の案内溝29aの臭部には凹陥部30aが設けられ、他方の案内溝29bの臭部には開口窓30bが設けられ、それぞれの端部には段部31a、31bが形成されている。また、内筒21の外周面には上記案内溝29a、29bと対応する2本の係止爪32が突設され、それら係止爪32は上記凹陥部30aおよび開口窓30bと係合している。したがつて、内筒21は外筒22に対して回転不能に係合されており、スラスト方向は移動自在に構成されている。この場合、内筒21のスラスト方向のストロークは係止爪32ど係合する凹陥部30a、開口窓30bの長さで規制されている。さらに、内筒21と外筒22との間には間隙部が設けられ、この間隙部には上端を外筒22のストツバ部22a、下端を内筒21のストツバ部21aに支承した圧縮ばね33が介在され、外筒22に対して内筒21を常に下方すなわち係合爪部26が開口部18から没入する方向に付勢している。したがつて、内筒21の上面は外筒22および蓋体11と面一に保持されている。

つぎに、上記フイルムカセツトを装填するカメラ本体6について第6図および第7図にもとづいて詳述する。すなわち、34はカセツト収納室7に設けた支持部材で、これはカセツト収納室7の底部35に突設された複数の支持台36…によつて固定されている。したがつて、この支持部材34はカセツト収納室7の底部35と離間しており、この前縁部には枢支軸37が軸支されている。そして、この枢支軸37には上記開閉蓋9の下端部が枢着され、カセツト収納室7の開口部8を開閉するようになつている。また、上記支持部材34の両端部にはカセツト収納室7の両側面に沿つて立設する支持壁38、38が折曲形成されており、この一方の支持壁38すなわち上記カセツト本体1のフイルム巻取り部4と対向する側にはスライド板39が設けられている。このスライド板39はL字状に形成され、その縦板40は支持壁38の外側面に、横板41は支持部材34の下部にそれぞれ対向している。さらに、スライド板39の縦板40には上下方向の長孔42、42が穿設され、これら長孔42、42は支持壁38に突設したピン43、43が挿入されている。したがつて、スライド板39は長孔42、42と係合するピン43、43によつて上下方向スライド自在に支持され、付勢ばね44によつて常に上方へ付勢されている。また、このスライド板39の横板41上には押し上げピン45が穿設され、これと対向する支持部材34には通孔45aが穿設されている。そして、この押し上げピン45は支持部材34上に装填されるカセツト本体1のフイルム巻取り部4における内筒21に対向し、スライド板39の上昇時にその底部25と当接して内筒21を圧縮ばね33の復元力に抗して押し上げることができるようになつている。つまり、カセツト収納室7の上部に設けられたフイルム巻上げ軸46の爪部47に対してスプール20の内筒21を押し上げ、その係合爪部26を係合できるようになつている。

また、上記スライド板39の縦板40には切欠部48が設けられ、この切欠部48の下端には係合段部49が形成されている。さらに、この切欠部48と対向する上記支持壁38にはピン50を軸心として回動自在なロツクレバー51が枢支され、これは付勢ばね52によつて反時計方向に付勢されている。このロツクレバー51の上端部には上記開閉蓋9の裏面に突設した押圧部53と対向する作用部54が設けられ、下端部には上記係合段部49に係脱自在な係合部55が設けられている。そして、このロツクレバー51は開閉蓋9に応動し、開放時には付勢ばね52の復元力によつて反時計方向に回動して係合部55が係合段部49に係合してスライド板39を下降位置にロツクし、閉塞時には押圧部53によつて作用部54を押出し時計方向に回転させて係合部55を係合段部49から退避させてロツクを解除するようになつている。

一方、上記スライド板39の上端部における一側部すなわちカセツト収納室7の開口部8側には折曲部56が設けられ、この折曲部56の先端にはピニオン57と噛合するラツク58が刻設されている。そして、スライド板39の上下運動をラツク58を介してピニオン57に回転運動として伝達させるようになつている。このピニオン57はカセツト収納室7の開口部8に沿つて横方向に架設された支持板59に回転自在に軸支されており、この支持板59上にはスライダ60が左右方向スライド自在に設けられている。このスライダ60にはその長手方向に沿う長孔61、61が穿設され、この長孔61、61には支持板59に穿設されたピン62、62が挿入されている。そして、このスライダ60は長孔61、61の長さの範囲内において左右方向にスライド自在になつている。このスライダ60の一端部には折曲部63が設けられ、この折曲部63には上記ピニオン57と噛合するラツク64が設けられている。また、スライダ60の他端部には掛止爪65が穿設され、これは上記開閉蓋9の裹面に突設したフツク66と係脱可能になつている。すなわち、スライダ60はピニオン57によつて右方ヘスライドしたとき掛止爪65がフツク66に掛止して開閉蓋9を閉塞状態に錠止し、左方ヘスライドしたとき掛止爪65とフツク66との錠止が解除されるようになつており、上記掛止爪65はカメラ本体6の上面に穿設されたスリツト67に貫通して上部へ突出している。

つぎに、上述のように構成されたカメラ本体6に対するカセツト本体1の着脱操作について説明する。カメラ本体6の開閉蓋9を開放した状態においては、ロツクレバー51は第6図に2点鎖線で示すように、付勢ばね52の復元力によつて反時計方向に回動している。したがつて係合部55はスライド板39の係合段部49に係合したスライド板39を下降状態に保持している。この状態において、カセツト本体1をカメラ本体6のカセツト収納室7にその後方から光軸方向に挿入すると、カセツト本体1はカセツト収納室7の支持部材34上に載置される。カセツト本体1をカセツト収納室7の所定位置に装填したのち、開閉蓋9を閉塞すると、ロツクレバー51の作用部54は開閉蓋9の押圧部53に押圧される。したがつて、ロツクレバー51は付勢ばね52の復元力に抗して時計方向に回動し、その係合部55は係合段部49から外れて第6図に実線で示すように保持される。スライド板39のロツクが解除されると、スライド板39は付勢ばね44の復元力によつて上方ヘスライドする。したがつて、押し上げピン45は通孔45aを貫通して上方へ突出し、カセツト本体1のフイルム巻取り部4における内筒21に当接する。このとき、内筒21は圧縮ばね33によつて下方へ付勢されているが、この圧縮ばね33のばね力より強い付勢ばね44の復元力によつて押し上げられるため押し上げピン45によつて内筒21は上昇し、内筒21の係合爪部26はフイルム巻上げ軸46の爪部47に係合する。したがつて、フイルム巻上げ軸46の回転は爪部47に係合する係合爪部26を介して内筒21に伝達し、内筒21の回転は係止爪31を介して外筒22に伝達するため、フイルム供給部3内のフイルム5を外筒22によつて巻取り可能となる。

一方、上記スライド板39の上方へのスライドはラツク58を介してピニオン57に伝達し、さらに、ピニオン57の回転はラツク64を介してスライダ60に伝達する。したがつて、スライダ60は右方ヘスライドし、掛止爪65はフツク66に掛止して開閉蓋9は閉塞状態に錠止されることになる。

また、撮影が完了し、カセツト本体1をカメラ本体6から取り出す場合には、まず、カメラ本体6の上面に突出している掛止爪65を手指によつて左方へ移動すると、掛止爪65はフツク66から外れ、開閉蓋9の装止は解除される。掛止爪65を左方へ移動すると、スライダ60はこれと一体に左方ヘスライドするため、ラツク64と噛合するピニオン57は逆転する。したがつて、ピニオン57と噛合するラツク58を介してスライド板39は付努ばね44の復元力に抗して下方ヘスライドする。このため、押し上げピン45も下降し、カセツト本体1の内筒21は付努ばね33の復元力によつて下降して係合爪部26がフイルム巻上げ軸46の爪部47から外れる。そして、内筒21の上端は外筒22および蓋体11と面一となる。そこで、開閉蓋9をその枢支軸37を支点として開放すると、ロツクレバー51は付勢ばね52の復元力によつて反時計方向に回動し、その係合部55が係合段部49に係合する。したがつて、スライド板39は下降状態にロツクされ、カセツト本体1をカセツト収納7から後方へ取り出すことができる。なお、開閉蓋9の錠止解除はスライド板39を下方ヘスライドすることで行つてもよい。

このように、カメラ本体6に対するカセツト本体1の着脱操作に際し、従来のようにフイルム巻上げ軸46を上下動させることなく、カメラ本体6の後方から着脱でき、装填後は開閉蓋9を閉塞するだけで、この開閉蓋9と運動するスライド板39のスライドによつてフイルム巻取り部4の係合爪部26を自動的にフイルム巻上げ軸46の爪部47に係合することができる。

この考案は以上説明したように、フイルム巻取り部を構成するスプールをフイルム巻取り用の外筒とカメラのフイルム巻上げ軸と係合する内筒との二重構造とし、その内筒をスラスト方向移動自在に構成したから、カメラに対するフイルムカセツトの著脱時にフイルム巻上げ軸を上下動させることなく容易に著脱することができる。しかも、外筒をカセツト本体に設けた軸受部に回転自在に軸支したから、フイルムの張力が外筒にかかつてもその張力が内筒に加わることがなく、内筒のスラスト方向の移動を円滑に行なうことができ、フイルム巻上げ軸との係説が容易であるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第1図はフイルムカセツトの平面図、第2図は同じく正面図、第3図A、Bは内視鏡用カメラの縦断背面図、および側面図、第4図はフイルム巻取り部の縦断正面図、第5図は第4図V-V線に沿う断面図、第6図はカメラの内部構造を示す一部切欠した縦断側面図、第7図は同じく横断平面図である。

1……カセツト本体、2……ブリツジ、3……フイルム供給部、4……フイルム巻取り部、19……軸受部、20……スプール、21……内筒、22……外筒、46……フイルム巻上げ軸。

第1図

〈省略〉

第2図

〈省略〉

第3図

〈省略〉

第7図

〈省略〉

第4図

〈省略〉

第5図

〈省略〉

〈19〉日本国特許庁(JP) 〈11〉実用新案出願公告

〈12〉実用新案公報(Y2) 昭61-9414

〈51〉Int.Cl.4G 03 C 3/00 G 03 B 17/26 識別記号 庁内整理番号 7915-2H 7811-2J 〈21〉〈44〉公告 昭和61年(1986)3月25日

〈34〉考案の名称 フイルムカセツト

〈20〉実願 昭57-127703 〈65〉公開 昭59-33038

〈21〉出願 昭57(1982)8月24日 〈63〉昭59(1984)2月29日

〈72〉考案者 貴俵厚 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オリンパス光学工業株式会社内

〈72〉考案者 小林一成 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オリンパス光学工業株式会社内

〈71〉出願人 オリンパス光学工業株式会社 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号

〈74〉代理人 弁理士 鈴江武彦 外2名

審査官 原健司

〈57〉実用新案登録請求の範囲

フイルム供給部を形成する第1の円筒体とフイルム巻取り部を形成する第2の円筒体との間が連結部によつて連結されるフイルムカセツトにおいて、少なくとも前記第1、第2の円筒体の何れか一方における前記連結部の外側面と同方向側の周面に手掛け部を設けたことを特徴とするフイルムカセツト。

考案の詳細な説明

この考案はカメラのカセツト室内に著脱可能に装著されるフイルムカセツトの改良に開する。

一般に、フイルム供給部を形成する第1の円筒体とフイルム巻取り部を形成する第2の円筒体との間がこれらの第1、第2の両円筒体の局面と接する外側面を備えた連結部によつて連結された構成のフイルムカセツトが知られている。この種のフイルムカセツトはカメラ内に形成されているカセツト室内に装着されて使用され、フイルム供給部から送り出される未露光フイルムを連結部の内部に形成されているフイルム通路に導き、この連結部でフイルム上に露光を行なつたのち、露光済みフイルムをフイルム巻取り部で巻き取るようになつている。

ところで、カメラの背面にカセツト着脱用の開口部を設け、カメラの背面側からフイルムカセツトの着脱を行なう構成にすることが考えられていろ。しかしながら、この場合には、カセツト室内に装着されているフイルムカセツトをカセツト室から取り出す際、カセツト着脱用の開口部に露出され部分はフイルムカセツトの外側面近傍部分だけなので、フイルムカセツトを手指でつかみにくい問題があつた。そのため、カメラを上方に向け、カセツト室内のフイルムカセツトを自重によつて自然落下させることも考えられるが、カメラに例えば内視鏡が連結されている場合にはカメラを上方に向けることが困難なものとなる難点があつた。また、開口部の近傍にテープの一端を止着し、このテープの中間部をフイルムカセツトによつてカセツト室の内匠部に押し込むとともに、このテープの先端を開口部側に露出させた状態でフイルムカセツトをカセツト室内に装着し、カセツト室からフイルムカセツトを取り出す場合にはテープの先端を引つ張ることによりカセツト室からフイルムカセツトを浮かして取り出すことも考えられるが、この場合にはフイルムカセツトの装着が面倒なものとなる欠点があつた。

この考案は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、カメラの背面側からフイルムカセツトを取り出す操作を容易に行なうことがでるとともに、装着操作が面倒なものとなるおもないフイルムカセツトを提供することにある。

以下、この考案を図面に示す実苑例にもとづいて説明する。第1図乃至第3図はこの考案の一実施例を示すものである。第1図はフイルムカセツト1全体の外観を示すもので、2はフイルムツ供給部を形成する第1の円筒体、3はフイルム巻取り部を形成する第2の円筒体、4は第1、第2の両円筒体2、3間を連結する連結部である。この連結部4には第1、第2の両円筒体2、3の周面とそれぞれ接する外側面4aが設けられている。さらに、この連結部4の内部にはフイルム通路が形成されている。また、第1の円筒体2における連結部4の外側面4aと周方向側の周面には第1図中で上、下方向に伸びる凸部(手掛け部)5が設けられている。

第2図はカメラ6のカセツト室7内にフイルムカセツト1を装着した状態を示すものである。カメラ6のカセツト室7は第1、第2の円筒体2、3をそれぞれ収納する略円筒状の1対の第1、第2の収納空間8、9と連結部4を収納する路矩形状の第3の収納空間10とによつて形成されている。また、カメラ6の背面にはカセツト着脱用の開口部11が設けられており、この開口部11は図示しないカバーによつて開閉可能に閉塞されている。

そこで、上記構成のものにあつてはカメラ6のカセツト室7内に装着されているフイルムカセツト1をカセツト室7から取り出す場合には第2図に矢印で示すようにカメラ6のカセツト着脱用の開口部11に露出されている凸部5を手指で第3図中で時計方向に押し込む。このように凸部5に押圧力が加えられると、フイルムカセツト1は第3図に示すように第1の円筒体2の周面がカセツト室7の第1の収納空間8の側壁面に押し付けられた状態で、この第1の円筒体2を中心に回動し、第2の円筒体3が第2の収納空間9から外部に押し出される。したがつて、このように第2の収納空間9から押し出された第2の円筒体3は手指で簡単につかむことができ、カセツト室7からフイルムカセツト1を容易に取り出すことができる。この場合、フイルムカセツト1は第1の円筒体2の中心を中心として第2の円筒体3側が回動して押し出されるので、第2の収納空間9の内側壁面は第2の円筒体3の回動軌跡に沿つた形状に形成されており、フイルムカセツト1の取り出し時に第2の円筒体3が第2の収納空間9の内側壁面に当たることがなく、円滑に取出すことができるようになつている。また、フイルムカセツト1をカセツト室7内に装着する場合には第1、第2の円筒体2、3をそれぞれ第1、第2の収納空間8、9に合わせた状態でフイルムカセツト1をカセツト室7内に押し込むだけでよいので、フイルムカセツト1の装着が面倒になるおそれもない。

なお、この考案は上記実苑例に限定されるものではない。例えば、凸部5はフイルム巻取り部を形成する第2の円筒体3に設けてもよい。さらに、第4図に示すように第1、第2の両円筒体2、3にそれぞれ凸部5を設けてもよい。また、上記実施例では手掛け部として凸部5を形成した場合を示したが、手掛け部を凹部によつて形成してもよく、或いは波形の講部や凹凸部等によつて形成する構成であつてもよい。さらに、連結部4は第1、第2の円筒体2、3のそれぞれの上面または下面に設けてもよく、また、上、下両面に設けてもよい。また、その他この考案の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。

以上説明したように、この考案によれば連結部によつて連結されている第1、第2の円筒体のうち少なくとも何れか一方に手掛け部を設けたので、カメラの背面側からフイルムカセツトを取り出す操作を容易に行なうことができるとともに、装着操作が格別に面倒になるおそれもない〓の実用上優れた効果を奏する。

図面の簡単な説明

第1図乃至第3図はこの考案の一実施例を示すもので、第1図は全体の斜視図、第2図はカメラのカセツト室内にフイルムカセツトを装着した状態を示す平面図、第3図はフイルムカセツトの取り出しを説明するための平面図、第4図は別の実施例を示す斜視図である。

2……第1の円筒体、3……第2の円筒体、4……連結部、4a……外側面、5……凸部(手掛け部)。

第6図

〈省略〉

第1図

〈省略〉

第2図

〈省略〉

第3図

〈省略〉

第4図

〈省略〉

一覧表(一)

(1)対象期間: 1984.4~1990.7

(2)対象物件: MEDICOLOR FILM 16-6T

病院(診療所) 名称 所在地 月間平均販売数(打) 総販売数(打)

西岡病院 札幌市豊平区西岡4条4丁目 5 180

河西外科 札幌市西区山の手3条2丁目 1 76

愛全病院 札幌市南区川沿13条西16 2 72

うえと外科 札幌市手稲区前田6条15丁目 1/3 50

首藤内科 札幌市西区平和1条4丁目 1/4 10

秋野内科 札幌市手稲区稲穂522 1/2 24

中垣病院 札幌市手稲区金山17 1/2 24

真栄病院 札幌市豊平区真栄331番地1 1 36

新川病院C 札幌市北区新川1条1丁目 1 60

今井外科病院 札幌市西区八軒6条東4丁目 1 72

合計 604

一覧表(二)

(1)対象期間:1986.3~1990.7

(2)対象物件:MEDICOLOR FILM 16-8T(16-8D)

病院(診療所) 名称 所在地 月間平均販売数(打) 総販売数(打)

愛育病院 札幌市中央区北3条西6丁目 12 636

いし胃腸科内科C 札幌市豊平区岸3条14丁目 10 480

厚別病院 札幌市厚別区厚別中央2条1丁目 4 212

ニューロイヤルC 札幌市中央区南19条西9丁目 6 318

国療札幌南 札幌市南区白川1814 2 106

大野病院 札幌市西区西野4条1丁目 6 216

札幌太田病院 札幌市西区山の手5条5丁目 4 192

十五島内科 札幌市南区藤野2条6丁目 1 53

慈敬会病院 札幌市中央区旭ケ丘5丁目6-50 1 53

桜台外科 札幌市厚別区厚別西4条2丁目 1 53

手稲病院 札幌市手稲区前田6条13丁目 2 60

西村内科 札幌市白石区中央1条7丁目 1/3 18

牧山外科 札幌市西区山の手3条12丁目 1.5 80

大谷地病院 札幌市白石区大谷地879 1/3 17

岡本病院 札幌市中央区北7条西26丁目 1 53

幌南病院 札幌市豊平区平岸1条6丁目 5 265

札幌商工診療所 札幌市中央区南3条西8丁目 1 53

新札幌ハ・ウロ病院 札幌市厚別東2条6丁目 1/2 15

横田胃腸科内科 札幌市豊平区中の島2条2丁目 2 96

勤医協北区病院 札幌市北区新琴似10条2丁目4 8 480

渓和会江別病院 江別市野幌代々木84 5 150

哲仁会えにわ病院 恵庭市南島松749-10 3 108

本間内科医院 小樽市稲穂2丁目19-13 1 48

朝里病院 小樽市新光1丁目7-10 1 60

東小樽病院 小樽市新光2-29-3 1 53

町立長沼病院 タ張郡長沼町市街地 4 212

国保町立南幌病院 空知郡南幌町南13条 3 159

国立登別病院 登別市登別温泉町5 2 106

新井病院 帯広市西1条南15丁目6 10 360

花田内科 美唄市大通北2丁目 2 106

富良野協会病院 富良野市幸町13-1 2 12

熊谷病院 室蘭市宮の森町4丁目19 2 106

由仁町立病院 タ張市由仁町馬追下187 2 106

日鋼記念病院 室蘭市新富町1-5-13 20

合計 5,062

甲第11号証の総括表(一)

〈省略〉

甲第11号証の総括表(二)

〈省略〉

意匠公報

〈省略〉

特許公報

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

実用新案公報

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

実用新案公報

〈省略〉

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